飲食店ドットコムのサービス

【新型コロナ】三つ星『HAJIME』米田肇氏が飲食店の救済を求め署名活動

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

3月31日には自民党の岸田文雄政調会長の元を訪れ、国の支援を求める要望書を手渡した。写真提供:米田肇氏(右から5人目)

収まる気配が見えない新型コロナウイルスの感染拡大の中、三つ星レストランのオーナーシェフが発起人となって3月29日に署名活動を始めた。感染拡大防止のため売上減少もしくは休業した場合に発生する固定費(家賃)と雇用者の給与の補助を政府に求める趣旨。2週間でネット署名に12万を超える人が賛同の意思を示し、大きな流れとなりつつある。

【注目記事】飲食店が活用できる新型コロナウイルス関連の「補助金・助成金」は?

15万人を超える人々の声を政府・自治体へ

署名活動の発起人はミシュランの三つ星レストランとして知られる『HAJIME(ハジメ)』(大阪市西区)のオーナーシェフ・米田肇氏(47)。日本料理店『柏屋』の松尾秀明氏、「Office musubi」の鈴木裕子氏とともにネット署名と手書き署名で開始した。

その趣旨は、このままの状況が続くと多くの飲食店が倒産してしまうことが予想され、それを防ぐために休業分の家賃+雇用者給与を補助するよう求めるもの。提出先は政府や自治体で、15万を超えてからの提出を予定している。

ネット署名は氏名とEメールアドレスを入力の上、住所地の郵便番号を選択し「今すぐ賛同」のバナーをクリックする。素早く意思表示ができることもあり、多くの飲食店事業者が賛同したと見られる。

署名活動を行っている「Change.org」の画面キャプチャ

2月のインバウンド需要激減から始まった

特定の業種の人々を対象にした署名活動で、2週間以内に12万を超える署名が集まることは通常では考えにくい。近年、日本が経験したことのないような事態となっていることが、このような数字となっていると思われる。

米田氏によると2月中旬頃からインバウンド需要が減少。同月中にほとんどインバウンドゲストがいない状態になり、感染が拡大する中、ロックダウン(都市封鎖)という言葉が3月中旬から出始め、政府から自粛の要請が出たことなどから売上が激減したという。

米田氏運営の三つ星レストランといえどもその流れに抗することはできず、「4月のキャンセルは200人を超え、2000万円程度の減収見込み」(米田氏、以下、コメントは全て同氏)であったが、緊急事態宣言の発出(4月7日)に伴い4月8日から5月6日まで休業としたため「(休業しても費用がかかる)固定費(家賃)と人件費で1か月1000万円の赤字です」と言う。

「本当に困っているという声は、身近で聞いていました。飲食業は10年続く店は10軒に1軒と言われるほど、厳しい世界です。普通のお店は少し風が吹くぐらいで倒産してしまいます。新型コロナウイルスで外出自粛の動きがみられ始めた時に『これは相当数が倒産する』と思いましたので、スピーディーにやらないといけないと思いました」と署名活動を開始した理由を説明する。

2011年の東日本大震災では仲間とともに被災地の支援活動を行なった。「その時は料理を作って、そのことで勇気を分け与えることができました。しかし、今回は『お店に来てください』とも言えませんし、政府からは自粛してほしいと言われます。過去に経験のないような状況です」と言うように、飲食店の自助努力だけではどうにも克服できない状況であることが活動の背景にある。

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
松田 隆

ライター: 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。ジャーナリスト。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ニュース&オピニオンサイト「令和電子瓦版」を主宰:https://reiwa-kawaraban.com/