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“最強”居酒屋『おじんじょ』のアフターコロナ。危機を乗り越えたポジティブシンキング

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株式会社5way kitchenの代表取締役・高丸聖次氏。2号店『高丸電氣』にて

食の街・恵比寿で有数の人気を誇る居酒屋『晩酌屋おじんじょ』(運営:株式会社5way kitchen)も新型コロナウイルス禍の直撃を受けた。しかも4月上旬に渋谷に2号店を出すタイミングと重なった。しかし、代表取締役・高丸聖次氏はポジティブシンキングで危機に向き合い、乗り越えた。人気居酒屋はこの危機をどう乗り越え、アフターコロナをどのように生きていこうとするのか聞いた。

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2号店を4月開店予定 「さあ、これから」の時に新型コロナ

『おじんじょ』は2014年の開店から人気を集め、坪月商70万円超の“最強”居酒屋として2017年9月に当サイトでも紹介した。新型コロナウイルス禍は人気店を襲った最初の試練と言える。

2月には新型コロナウイルスが話題になっていたが、売上は前年比を超えていた。しかし、3月に入ると徐々に売上が下落、3月25日に小池百合子都知事が緊急記者会見で不要不急の外出を控えるように要請すると、一気に客足が遠のいた。

その結果、3月以降の売上は急降下。対前年比の数値は、3月70%、4月30%、5月40%。対前年比10%という声も聞こえた業界だけに、この数字はまだよく踏ん張ったと言える数字なのかもしれない。

しかし、株式会社5way kitchenでは、他店よりも厳しい状況となる条件があった。それは4月8日に渋谷に2号店の『高丸電氣』をグランドオープンさせる予定で準備を進めていたことである。4月1日から5日間、プレオープンしたがキャンセルが続出する状況。4月7日に緊急事態宣言が出され、その翌日のグランドオープンは延期せざるを得なかった。

金融機関から新店舗のための借り入れを行なっていたが、新たな債務は約3,800万円。業務を拡大し、さあ、これからという時に新型コロナウイルス禍である。普通の人なら全てを投げ出したくなってしまいそうな状況と言ってもいいかもしれない。

しかし、高丸氏は我が身の不運を嘆くことはしなかった。「逆にラッキーだなと思いましたね」と振り返る。

『おじんじょ』の名物といえばレモンサワー(2017年取材時のもの)

緊急事態宣言の後のミーティングで従業員の意思を確認

4月7日に緊急事態宣言が発出され、居酒屋業界を含む外食産業にとって、かつてない危機が訪れた時、従業員5人を集めてミーティングを行った。

「みんなの意思を聞きました。会社としてはテイクアウトを(メインに)やっていこうと思うから、一緒にやる人間は残ってほしいと言いました。家族がいるので感染のリスク等を考えると難しい、休ませてくれというのなら、そうしてもいいと言いました」(以下、コメントは全て高丸氏)。

危機に際して会社としてできること、進むべき道を示し、そこに向けての体制作りがこのミーティングの位置付けと言える。5人は全員、社長についていく意思を示した。アルバイトは15人ほどおり、まだオープン前だった『高丸電氣』で働く予定だった3人ほどが離れたが、ほかは残った。

東京都から居酒屋を含む食事提供施設に対して営業時間短縮の協力要請が出された4月10日以降は午後8時閉店の営業を続けたが、自粛要請の効果は強力で、店舗に飲みに来る客はほとんどいない。売上の多くはテイクアウトが占める状況。それも最初から順調というわけではない。当初は1日の売上が2万円という日もあった。

「通常営業との共通点は食品を扱うということだけで、それ以外は何もかも違います。でも、従業員が工夫してやってくれたのには感謝しています。弁当も試行錯誤の連続でした」

1号店『おじんじょ』の店内の様子(2017年取材時のもの)

毎日、フェイスブックで情報を発信し続け、顧客の注意を引き続ける努力が実り、徐々にテイクアウトの売上がアップ。その原動力となったのは、皮肉にも「密」な関係であった。

『おじんじょ』のコンセプトは「来てくれたお客さんにまた来てもらう」。美味しいだけの店ではなく、「また来たい」と思える楽しい店作りを目指してきた。そこに店と客の「密」な関係が生まれる。

「これまで、お客さんとスタッフが密な関係、いい距離感でやってくれていました。それでお客様の方も『スタッフの●●君、大丈夫かな』と心配して顔を出してくれました。デリバリーでは、近所に紹介してくれることもありました。そうすることで5000円の売上が2万円になります。それもあって、1、2か月は商売ができていたというのはあります」

日頃の営業で築いた顧客との信頼関係が、店を救う原動力になったのである。非常事態でも店に残り、慣れないテイクアウト弁当作りに対応し、築いてきた顧客との関係を活用して売上を伸ばす。そんな従業員を「宝です」と高丸氏は言う。

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松田 隆

About 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。ジャーナリスト。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ニュース&オピニオンサイト「令和電子瓦版」を主宰:https://reiwa-kawaraban.com/