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売上80%でも利益を残すには? コロナ禍の飲食店経営を数字から考える

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画像素材:PIXTA

コロナ禍で売上が下がっている店舗、コロナ前の売上になかなか戻らないという飲食店も多いだろう。今回は、売上が減少する中で利益をいかに確保していくか、その方法を考えていきたい。

【注目記事】飲食店経営に欠かせないPL(損益計算書)の作り方。利益を生むために着目すべき数値とは?

売上が80%になった時の試算

業態や立地にもよるだろうが、直近では前年の70~80%程度の売上の店舗が多いと言われている。ここでは、月間売上500万円の店舗が8割の売上になった時の影響を、数字面を中心に確認する。

売上が20%減ると赤字に転落してしまう

単純な例だが、コロナ前と同じような営業をしていると、赤字に転落してしまうことがわかるだろう。

固定費の見直しが必要

売上がコロナ前に戻らないことを前提に考えると、コストの見直しが必要となる。まずは固定費の見直しを検討しよう。例えば、賃料の交渉はしているだろうか?

外食業界全体の業績が厳しく新規出店も多くない状況で、「今のテナントが抜けたら後継を見つけるのが厳しい。であれば多少賃料を安くしても今のテナントに残ってほしい」と考える家主も多い。3か月ごとに見直すといった短期間を前提に、10~20%程度の減額の相談をすることを考えてもいいだろう。

広告費や販売促進費なども、費用対効果を再度確認してみよう。なんとなく支払い続けている媒体費用、自社スタッフでもできるような外注作業などは減額や中止を考えるべきである。ただし、Go Toイートの予約ポイントの対象になっている媒体に関しては、予約での来店を見込めるのであれば、掲載を続けたほうがいいだろう。

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FLコストの見直しもする

FL(食材費と人件費)についても見直しが可能か考えてみよう。売上が下がっているので、人件費も大幅に抑える必要がある。現在の売上に合ったシフトを組んでいるか、1時間ごと、ポジションごとに見直してみよう。また、生産性に着目すると、1人のスタッフが複数ポジションできるほうが生産性はあがるので、複数ポジションできるような教育についても検討するといいだろう。

一方、特定のスタッフに業務が集中して、残業代が発生していることはないだろうか? 売上が下がっている状況ではスタッフが余っているケースも多いはずなので、特定のスタッフに業務が集中しないようバランスよくシフトを組むようにしよう。深夜に営業している居酒屋のような業態の場合は深夜手当も発生するが、お客さんが少ないのであれば、営業時間の見直しも考えてみるといいだろう。

食材費に関しては、変動費なので売上が下がれば食材費も下がる。原価率を下げる方法も無くはないが、下げ過ぎると品質にも関わる。ただ、在庫過多・ロス率増加などにより原価率が上がってしまうことは考えられるので、発注量や頻度、在庫量に関して一度チェックしてみるといいだろう。

ここまでのコストの見直しによるPLの変化を確認してみよう。

コストを見直すことにより、しっかりと利益を残せるように

少しでも売上を上げる取り組み

コストの見直しだけでは黒字化が難しい、あるいはもう少し利益が必要な場合は、やはり売上を少しでも上げる取り組みが必要である。以前の客数を獲得することは難しいので、客単価を上げる施策を考えたほうがいいだろう。以前より客数が少ない分、店内で快適に過ごせるため、滞在時間も長くなる傾向にある店舗も多い。おすすめメニュー、ドリンクやデザートなどを積極的に提案する仕組みを考えてみよう。

仮に客単価4,000円の業態、客数が1,250人から1,000人に減少した店舗で計算すると、客単価を例えば3%あげることができれば、利益も大幅に上積みされる。

客単価を上げることで利益も伸びる

今回は、コロナ禍での利益確保について、数字を用いて紹介した。様々な取り組みや施策を検討していると思うが、実際に数字に落とし込み、効果を考えながら取り組むといいだろう。ぜひ今回の記事を参考にしてほしい。

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若林和哉

ライター: 若林和哉

株式会社パートナー経営企画・代表取締役。飲食店の勤務経験や中小企業診断士の資格を生かして、事業計画作成や資金調達の支援、フランチャイズ関連のWebページの執筆やセミナー講師などを務める。好きなお店は、ラーメン・カフェ・日本酒のおいしい居酒屋など。https://パートナー経営企画.com/