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ホリエモン騒動の『四一餃子』に支援1,400万円。店主と家族を救った「命の手紙」

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『四一餃子』を営む川端眞一氏とそのご家族

実業家でタレントの堀江貴文氏との入店トラブルをめぐって営業停止に追い込まれた『四一餃子(よんいちぎょうざ)』(広島県尾道市)に対し、クラウドファンディングで1,400万円を超える支援が集まっている。事件後、多くの嫌がらせを受け、夫人が体調を崩すなどで営業を止めざるを得なかった店主の川端眞一氏(47)は多額の支援に感謝し、営業再開への道を探っている。そして、どん底に落とされた時に自分と家族を救った多くの「命の手紙」に恩返しをと願っている。

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マスク着用をめぐるトラブル、店先で押し問答

ネットだけでなくテレビでも取り上げられて話題になった餃子騒動、『四一餃子』に“ホリエモン”一行3人がやってきたのは9月22日のことだった。店では張り紙でマスクの着用をお願いしており、3人の中にマスクを着用していない者がいたために川端氏の夫人がマスク着用をお願いした。これに対して堀江氏は「食べる時はマスク外すでしょ」「どの状態までマスクをしなければいけないのか」などと発言。押し問答となり、見かねた川端氏が入店を拒否した。

その後、堀江氏からYouTubeやTwitterなどで店舗が特定できるような形で批判されたため、まともに営業ができない状態に陥ってしまった。

「留守番電話に『潰れろ、潰れろ』とか『お前はクズだ』みたいなのが何度も入ってきました。それから、いわゆる“ヤンキー”みたいな人たちが肩をいからせ、ガンを飛ばして入ってくるということもありました。その人たちとは最後は分かり合えましたが、その『圧』は半端ではありません。また、店の周りをビデオカメラを抱えたユーチューバーらしき人たちがうろついて『住所、ここで合ってるよな』などと話していたので、それを見て妻は外に出られなくなってしまいました」

取材はオンラインで実施した

夫人は体調を崩し、夫婦で営業していた店の継続は困難な状態に。こうして、9月27日の営業を最後に、営業を停止することになったのである。

2009年の開店から11年。2年目の2010年にお嬢さんを授かり、「死ぬほど働いて」(クラウドファンディングの動画より)、ようやく軌道に乗ってきた時に降って湧いたような事件に巻き込まれた。堀江氏にとっては仕事先で寄った飲食店で小さなトラブルがあり、それをいつものようにネットで発信しただけのことかもしれないが、地方で小さな餃子専門店をコツコツと営んできた一家3人には突然の暴風雨が家の中に吹き込んできたぐらいのインパクトがある。

「ひろゆき」氏の提案でクラウドファンディング開始

不特定多数の人たちからの謂れなき攻撃によって営業停止に追い込まれた川端氏だが、匿名掲示板「2ちゃんねる」開設者で実業家のひろゆき(西村博之)氏からTwitterでクラウドファンディングを始めることを提案された。

クラウドファンディング自体をよく知らなかったというが、熟慮の末に開始する。その理由は様々であった。一つは夫人の状態が思った以上に悪く、営業再開のためには人を雇う必要があり、その人件費が必要であったこと。また、今回の事件に対して(自分たちは多くの人たちから批判を浴びせられるようなことをしていたのか)という点について世の声を聞きたいという思い、そして応援の声が届けば、夫人も元気になってくれるのではないかという思いがあったという。

こうして10月24日にモーションギャラリーで「四一餃子 ネット通販で再起をかけます」というプロジェクトを立ち上げるに至ったのである。目標金額は300万円。支援金でネット通販の開設やスタッフ確保の資金、冷凍餃子製造のための設備工事などに充てるとした。

クラウドファンディングを実施した「モーションギャラリー」の画面キャプチャ。1,400万円以上の支援が集まった

プロジェクトが始まると全国から支援が届き、1週間もしないうちに目標金額を突破。11月12日時点で1,400万円を超える金額が集まっている。「(あまりに多くの支援が集まり)まだ、実感がないというのが正直な感想です。何か数字が一人歩きしているような感じです」と川端氏は信じられない様子である。

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松田 隆

ライター: 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。ジャーナリスト。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ニュース&オピニオンサイト「令和電子瓦版」を主宰:https://reiwa-kawaraban.com/