4月1日から消費税込みの「総額表示」が義務化。飲食店がやるべき準備は?

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2021年4月1日から商品の総額表示(消費税額を含めた価格表示)が義務化される。これまで「税込価格だと誤認されないための措置を講じていれば、税込み価格を表示しなくてもよい」としていた特例措置が3月31日で終了するのだ。
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誰もが支払いをしやすい「総額表示」へ
総額表示とは、消費者に商品の販売やサービスの提供を行う事業者が、値札やチラシなどでその取引価格を表示する際に、消費税額(地方消費税額を含む)を含めた価格を表示することをいう。
じつはこの総額表示は2004年から義務付けられている。しかし、消費税が5%から8%、さらに10%と段階的に引き上がることが決まり、総額表示のままでは増税のたびに値札や印刷物などを訂正する作業とコストが発生することが想定されたため、特別措置法(消費税転嫁対策特別措置法)が施行され、総額表示は猶予されることになった。2019年に消費税の引き上げが落ち着いたことから、3月末に特別措置法が失効し、4月1日からは総額表示が義務化される。

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適切な価格表示は?
例えば1,000円の商品を「総額表示」する場合は、以下のようになる(標準税率10%が適用されるケース)。
■正しい表示方法
・1,100円
・1,100円(税込)
・1,100円(税抜価格1,000円)
・1,100円(うち消費税100円)
・1,100円(税抜価格1,000円、消費税100円)
<ポイント>
・「1,100円」という支払総額を表示していれば、「消費税額」や「税抜価格」は表示しても、しなくてもよい。
・「1,000円(税込1,100円)」であっても、消費税額を含んだ価格を明瞭に表示していれば「総額表示」に該当する。「(税込1,100円)」の文字が小さい・うすいなどは明瞭と言えない。
■NGな表示方法
・1,000円+税
・1,000円(税別)
・1,000円(本体価格)など
なお、総額表示をするにあたり、1円未満の端数が生じるときには、その端数を四捨五入、切り捨てまたは切り上げのいずれかの方法により処理してもよいとされている。

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総額表示義務化に際して飲食店が確認すべきこと
総額表示は、消費者に販売する商品やサービスすべてに義務付けられる。飲食店が確認しておきたいのは次のようなものだ。
・メニュー表
・店内ポップ
・チラシ、広告
・ホームページ
・ダイレクトメール・メールマガジン
・商品に貼り付けた値札
口頭で価格を伝えるときは総額表示でなくてもいいとされている。ただ、今後お客が総額表示に慣れていくと、誤解が生じることもあり得る。口頭でも総額表示をクセづけていくことが望ましいだろう。
軽減税率もわかりやすく表示を
コロナを機にテイクアウトやデリバリーを始めた飲食店も多いだろうが、テイクアウトなどには軽減税率が適用される。こうした店舗はよりわかりやすい価格表示が求められることになりそうだ。
・例① 店内飲食(10%)とテイクアウト(8%)の両方の税込価格を表示する
からあげ丼 1,100円(店内飲食)/1,080円(テイクアウト)
・例② どちらか片方だけの税込価格を表示する
からあげ丼 1,100円 ※テイクアウトの場合は税率が異なるため別価格となります。
総額表示義務化まで残り1か月。店舗で表示のルールを定め、期限までに総額表示への切り替えを行っていきたい。
