カラオケ業界もコロナ直撃。緊急事態宣言下でとった『カラオケ館』の秘策が話題

店頭には「室料0円」の看板が
「室料120分無料」キャンペーンの背景
カラオケ館の料金体系は、「早(11:00~19:00)」「中(19:00~5:00)」「遅(23:00~5:00)」と3つに分かれている。最も安いのは「早」の時間帯。「中」は割高で、「遅」になるとフリータイム制になるため、時間単位に換算すると、コスパは「中」よりも良くなる。
「今回の営業自粛要請は20時までだったので、19時までだった『早』の時間区分を単純に20時まで延ばそうと。いずれにせよ売上は正直期待できないので、だったらカラオケ店って意外に安全で、使いやすいんだよということを知ってもらおうとしたわけです」
Wi-Fiも電源コンセントも使えるし、防音ゆえにオンライン会議にも便利だった。これを機会に、「一人カラオケ」を存分に楽しもうという人も多かったようだ。
「激安のカラオケ店っていつの時代もありますし、うちも元々こういう料金でやっていた店舗はあったんですが、全店展開は初めて。ものすごく反響がありました。びっくりしたのは銀座、六本木、新橋など、企業関係の方の利用が多そうな地域で学生の利用が急激に増えたことで、毎日来る方もいました。潜在的なニーズと料金的なインパクトが合致したんでしょうね。
これまで、都心部にある店舗は、企業層をいかに取り組むかを考えて営業していたので、会社員が在宅になるとどうなるのかと思っていたのですが、意外に若年層もいらっしゃるというのは、アフターコロナの一つの戦略として面白いかなと思いますね。いずれにせよコロナの前から、時代の流れで企業の団体利用は減ると思っていました。ですので、今までなかった層に機会があるという手応えはありました」
屋内禁煙の影響は?
昨年、コロナ騒動の始まりとともに飲食店やカラオケ店を襲ったのが、改正健康増進法による“原則屋内禁煙”ルールだ。元来カラオケボックスは、その目的と構造の性質上、各室内に給排気設備を備えており、窓がなくとも換気が行われているが、喫煙専用の場所でないと吸えなくなった。
「特に夜のお客様は、お酒とタバコはセット、という方も多い。ですから我々も危機感をもちまして、77店舗ほどに加熱式専用喫煙フロアを用意しました。専用フロアがあるということで、来てくれる人も増えました。紙タバコを吸える喫煙専用室は、各店舗に必ず1部屋作っています。加熱式専用喫煙フロアも喫煙所も、コンスタントに稼働していますね。分煙できていれば問題ないのではと思います」
高橋氏は、今後のカラオケ店を「いつの時代もすごく身近なものでありたいと思うんです」と話す。「ふと寄れるところ。若い子であれば、毎日行けるような。まずはそういう風にしたいなと」。いろんな人が、気軽にいつでも楽しめる場所づくり。カラオケ館の挑戦が続く。
