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コロナ禍で急成長する『ステーキリバーベ』。成功の鍵は「1人客」と「回転率」

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肉の処理の様子。ミスジ肉のスジなどを取り除く

『いきなり!ステーキ』や『やっぱりステーキ』など、格安ステーキは百花繚乱の時代を迎えている。そんな折、大阪を中心に、東京と埼玉を合わせて17店舗を展開しているステーキハウスがある。『ステーキリバーベ』だ。

昨年8月7日、大阪の池田市に1号店が産声をあげたと思ったら、同月末に4号店が埼玉県川口市に開業。9月には6号店の池袋店が、10月には9号店の大宮東口店がグランドオープン。コロナ禍の今、なぜ猪突猛進を続けるのか。『ステーキリバーベ』を運営する五苑マルシングループ・かわべフードサービスの関東営業部営業課第2ブロック長、古川幸一さんを池袋店で取材した。

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かわべフードサービスの関東営業部営業課第2ブロック長、古川幸一さん

ランチに強く、回転率がいい業態を導入したかった

五苑マルシングループは、全国展開するホルモン焼きの『情熱ホルモン』を中心に焼肉、中国料理、天ぷら海鮮など、さまざまな業態の飲食店を運営している。その一つとして『ステーキリバーベ』を昨年8月にオープンした。

看板メニューは赤身のミスジステーキ。ランチでは150グラムのミスジステーキをサラダ、味噌汁、ライス付きで880円(税別)で提供。『いきなり!ステーキ』が店舗を減らしている中、格安ステーキ店のどこに勝機があると踏んだのか。

「ランチに強く、回転率がいい業態を導入したいと考えていました。その中でステーキは今後も伸びる市場だと思い、出店しました」

焼肉はディナーがメインで、ランチ客が少ない。しかも焼肉の滞在時間は2時間、ステーキは30分。リーズナブルな価格設定にすれば、ファストフード的な感覚でステーキを食べてもらえるだろうし、リピーターも見込めると判断したというのだ。

「弊社は肉に特化した会社だったこともあり、ステーキという業態での新ブランドを提案させていただくことにしました」

150グラムのミスジステーキ・ランチ。ライス(宮城県ひとめぼれ)は食べ放題

“1人で食べられる”がコンセプトのステーキハウス

「1人で食べられる、めっちゃ素敵な鉄板厚肉牛」が『ステーキリバーベ』のコンセプト。ソーシャルディスタンスもあり、1人でも入れる焼肉や居酒屋が注目されているが、『ステーキリバーベ』ではコロナとは関係なく、“1人で食べられる”ステーキを謳うことにした。

しかも、『いきなり!ステーキ』の立ち食いスタイルに対し、テーブル席とカウンター席を採用。池袋店には2人掛けと4人掛けテーブル席のほかカウンター席もあるが、カウンター席はほとんど使っていないそうだ。“1人で食べられる”がモットーなので、1人客でも4人掛けのテーブルに案内する。

「自分は相席が嫌なので相席にはしません。満席のときはお待ちいただきます。コロナが収束してもこのスタイルを変更する予定はありません」

4人掛けのテーブルでも1人で利用できる

4人掛けのテーブルを1人客が使ったら売上は4分の1。減益分を回転率でカバーしようというのである。オペレーションはできる限り簡素化。一番人気のミスジ肉は1日に約7本仕込むが、肉を掃除してしまえばあとは焼くだけなので、厨房は1人で回せる。ホールも1人か2人でカバーすることで人件費を極力抑えることができる。

「『ステーキリバーベ』の全17店舗は、グループの店舗を業態変更したため、出店の費用も最小限に抑えることができました」

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中島茂信

ライター: 中島茂信

CM制作会社を経てライターに。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』『101本の万年筆』『瞳さんと』『一流シェフの味を10分で作る!男の料理』『自家菜園のあるレストラン』。『笠原将弘のおやつまみ』の企画編集を担当。「dancyu web」や「ヒトサラ」、「macaroni」などで執筆中。