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飲食店のテイクアウト戦略、成功の鍵はSNSと容器選びにアリ。人気店の集客術を公開!

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『APRON The Diner』でのテイクアウト販売の様子。近隣のオフィスワーカーもよく利用してくれるそう

飲食店に新型コロナウイルスの影響が出始めてから1年以上が経過した。通常営業がままならない状況が長く続き、売上を立てる手段としてテイクアウトを始めた店舗も少なくないはずだ。

しかし、どの店舗も同じように対策を練っている中で、他店と差をつけて売上を確保することは難しい。一体、どのような戦略が有効なのだろうか? 今回は、月間500食のテイクアウトランチを販売している神田のダイニングレストラン『APRON The Diner(エプロン ザ ダイナー)』を取材。同店を運営するスターダイニング株式会社・代表取締役の尾崎聡さんに、テイクアウトにおける収益確保のポイントを伺った。

『APRON The Diner』の店内

コンセプトは「アメリカのダイナー」

『APRON The Diner』がオープンしたのは約3年前。アパホテル神田駅前の開業と同時に、ホテル内に併設されるレストランとして営業をスタートした。ホテルの宿泊客はもちろん、近隣住民やオフィスワーカーも訪れる人気店だ。

「“ホテルのレストラン”として来店する方も多いですから、カジュアルで入りやすい店でありつつも、ホテルの品を損なわないよう意識しています。朝は宿泊客用に和食や洋食のビュッフェ、ランチとディナーは、基本的にアメリカンコンフォートフードを提供しています」

古き良きアメリカの家庭料理“アメリカンコンフォートフード”を店のメインメニューに選んだのは、尾崎さんが同国に滞在していたときの経験から。アメリカの多種多様な文化が融合した料理に魅了されたそうだ。

「現地で暮らしてみて、特に印象的だったのが料理でした。アメリカは多民族国家で、暮らしている人種も飲食店も多様です。中華やイタリアン、和食、フレンチなど本当にたくさんの食文化が混ざり合っていて、ワールドワイドなんですよね。そこに魅力を感じて、日本でもアメリカらしいスタイルで営業できればと思い、店を開きました」

さまざまな食文化を融合させた料理の数々は、外国人客にも好評。コロナ前は全体の3~4割が外国人客で「毎日いろんな国の方が来てくださるので、とても楽しく営業していたんです」と尾崎さんはふり返る。

『APRON The Diner』を運営するスターダイニング株式会社・代表取締役の尾崎聡さん

コロナ禍を生き抜くためにテイクアウトをスタート

『APRON The Diner』の営業は順調だったが、コロナ禍で外国人客が激減。ホテルの宿泊客はもちろん、近隣の利用客も減ってしまい窮地に立たされたという。

「ホテル内にあるレストランは飲食業・観光業という両面であおりを受けてしまいます。毎日1~2人しかお客様が来ない日々が続きました。おまけに朝食のビュッフェも、大皿から取り分けることができなくなったので中止に。どこも悲惨だったと思いますが、うちが一番ひどいんじゃないかってくらいに落ち込みました」

客足が遠のく中、なんとか売上を確保しようと始めたのがテイクアウトだった。コロナ前までは「ほとんどやったことがなかった」そうだが、普段からイートインで提供しているカレー、パスタ、日替わりの3種類のランチメニューを店頭に並べ販売し始めた。

「日替わり以外のメニューも、常に新しいものを提供するようにしています。例えばカレーは、少し前までソフトシェルシュリンプを使ったものでしたが、今はレモンクリームチキンカレーを提供しています。神田は“カレーの町”というイメージもあって、カレーは人気があります。当店もカレーにはこだわりがあって、試作も続けています。過去には神田カレーグランプリに参加して、決勝まで行ったこともあるんですよ」

試行錯誤を続けるカレーは、客からの評判も上々。根強いファンも多く、テイクアウト客の3~4割はリピーターだ。「リピーターのお客様には本当に支えられています」と尾崎さんは言う。

提供しているランチメニューのミートソースパスタ(左)とレモンクリームチキンカレー(右)

店頭でのパフォーマンスで客の注目を集める

とはいえ、メニューの工夫だけでは集客は難しいだろう。どのように集客を行っているのかを聞いてみると、いくつかの戦略を教えてくれた。そのうちの一つが、店頭販売でのパフォーマンスだ。

「店頭販売では赤いパラソルを立てて、とにかく通行人から注目を集めるようにしました。それから、カレーはその場で盛り付けるパフォーマンスを行っています。できるだけ温かいものを提供したくて始めたのですが、これを見たお客様が『店内で食べたい』とリクエストしてくださるようになって、イートインにも少しずつお客様が入るようになったんです。テイクアウトがきっかけで店内利用が増えたのは、嬉しかったですね」

目の前で盛り付けることは、客が集まりやすくなるだけでなく、客とのコミュニケーションにもつながる。

「例えば、ごはんの量を少なめにしてほしいというお客様もいれば、逆に多めにしてほしいという人もいます。その場でリクエストを聞けたり、コミュニケーションを取れたりするところも、目の前で盛り付けを行うことの魅力かもしれません」

テイクアウトをきっかけにイートインを利用する客が増えたほか、リピーターも増加。テイクアウトでは月間500食を販売し、全体の売上を支えているという。

ミートソースパスタは、とろりとしたチーズをのせるのがポイント

インスタグラムを動画とともにリアルタイムで更新

テイクアウトは店頭販売のほか、「食べログ テイクアウト」や電話での受付も行っている。さらに積極的に活用しているのが、「リアルタイムでほとんど毎日更新している」というインスタグラム。その日のメニューを朝10時ごろに投稿しているという。

「本来は前もってメニューが決まっている方がいいんでしょうけど、私は結構気まぐれで(笑)。そのときどきで提供するメニューを考えて更新しています。料理は旬の食材を使うことも意識しているので、リアルタイムで発信するほうがいいと思っているんです」

インスタグラムでは、写真だけではなく盛り付けている様子の動画も配信。出来立ての雰囲気が良く伝わる工夫だ。インスタグラムからはボタン一つで注文できるようになっており、客もスムーズに利用できる。「投稿を定期的にチェックして、お電話で注文してくださるお客様もいらっしゃいます」と尾崎さん。新規客への宣伝はもちろんのこと、リピーターへの情報発信にも有効なようだ。

『APRON The Diner』のインスタグラム

容器はイートインと同じ状態で提供できるものにこだわる

さらにテイクアウトに欠かせないのが、提供するための容器。「イートインと同じ状態で提供したい」という気持ちから、尾崎さんは容器選びにもこだわっている。

「まず、お客様が持って帰るときに絶対にこぼれないものであることが大切。特にうちはカレーを出しているので、水分や脂が染み込んでしまうものはダメですね。それから、デザインは当店のコンセプトに合ったスタイリッシュなものを選ぶようにしています」

また、テイクアウトでの提供は、客の食べるタイミングにも配慮が必要になる。できるだけ長く、出来立ての状態がキープできる容器であることも大切だ。

「お客様がすぐ食べる場合ならいいんですけど、テイクアウトはそうじゃないときもありますよね。少し距離のあるところから買いに来たとか、近所だけどあとで食べるとか。食べるタイミングはお客様によるので、少しでも長く店と同じ状態を保てるものがいいです。例えば、カレーの場合はお米がカレーを吸ってしまわないように、別々に盛り付けられるものを選びますし、耐熱性や耐久性の高さも重要です」

容器選びも大切だと話す尾崎さん

シーピー化成の容器は、安心してお客様にお渡しできる

容器にこだわる尾崎さんが現在使用しているのは、テイクアウトやデリバリーに使用できる容器を8,000点も揃える「シーピー化成」の製品だ。使用するきっかけとなったのは、2019年の神田カレーグランプリ。当時販売されていた、シーピー化成とKISS,TOKYOのコラボ商品が目に留まり、同イベントで使用することにしたという。決め手はデザイン。「とにかくグランプリで目立ちたかったので、シーピー化成さんの華やかな器を選んだ」と尾崎さんは語る。

その後、コロナ禍でテイクアウトに力を入れることになり、再度シーピー化成の製品を使用することに。イベント時はデザイン重視だったが、今回はデザインに加えて機能性も見て判断。使用感にはかなり満足しているとのこと。

「シーピー化成の製品は、デザインだけでなく質も良いんです。耐熱性や耐久性もあるし、深さやちょっとしたくぼみもあって盛り付けやすくなっているんですよ。蓋でしっかりと密閉できるのもいいですね。重ねてもずれないので、店頭に並べたり、複数ご注文されたお客様にお渡しするときも安心です」

現在『APRON The Diner』で使用している、シーピー化成の「CBFNランチ」シリーズ

意外なポイントとなったのは、蓋の立体感。「高さがあるので盛りつけた商品が潰れず、美しく見える」のだという。このほか、シーピー化成の製品は持続可能性の高い植物由来のバイオマスプラスチックが使われており、環境にやさしいことも魅力の一つ。植物性といえば紙の容器を想像する人も多いが、紙では汁漏れや耐久性に不安がある。『APRON The Diner』が利用しているシーピー化成の「CP Bio」シリーズは、バイオマスプラスチックを最大30%配合し、プラスチックでありながら最大限に環境に配慮。環境問題の観点から、プラスチックの利用に抵抗がある場合も安心だ。

さらに、シーピー化成が運営する「CP新製品ライブラリー」では、サンプルを無料で取り寄せることができる。数多くある容器から自店の商品に合うものを選ぶことは難しく、良いと思ってオンラインで注文しても、実際手に取るとサイズ感などがイメージと違う場合もあるだろう。まずはこうしたサービスを利用して、試用してみるのもおすすめだ。

容器の底には、「植物由来原料一部使用容器」と記載されている。テイクアウト客に「環境に配慮したお店」であると自然に伝わる仕様だ。

テイクアウトを続けることが、お客様とのつながりになる

テイクアウトサービスは、コロナ禍の売上確保として有効といえるが、それ以上にテイクアウトの提供が「お客様とのつながりをつくる」ことにも役立ったと尾崎さんは言う。

「店自体はもちろん、ホテルにもお客様がほとんどいない状況。本来なら店を閉めてもいいところだと思うんですけど、そこをなんとか踏ん張って『やってますよ』というのがお客様に伝われば、それでいいのかなって。そして、いつかコロナが収まったときに戻ってきてもらいたいですね。実際、今も少しずつ戻ってきてくれているお客様もいて、すごく励まされています」

新型コロナウイルスの影響はこれからも続く。そんな時だからこそ、「今後もテイクアウトを続けていきたい」と意気込みを語ってくれた。

「今後はディナーや朝食メニューでも、テイクアウトをもっと広げていきたいです。特に朝食は一部の常連の方にはご注文をいただくことがあるんですが、もっと客層を広げていきたいですね」

飲食店は収益の確保が厳しい状況が続いているが、しっかりと戦略を練れば、テイクアウトを売上の柱の一つにすることもできる。メニューはもちろんのこと、提供する容器や集客方法を見直しつつ、テイクアウトで自店が勝てる道筋を探ってみてほしい。

■テイクアウト・デリバリー用の容器が豊富! 「シーピー化成」の製品はこちらから
[提供] シーピー化成株式会社

『APRON The Diner』
住所/東京都千代田区鍛冶町2-10-3 アパホテル神田駅前1F
電話番号/03-3525-4990
営業時間/月〜金7:00〜10:00(L.O.9:30)、11:30〜15:00(L.O.14:30)、17:30〜22:30(L.O.22:00)、土日祝 7:00〜10:00(L.O.9:30)
定休日/なし
席数/30

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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