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コロナ禍の「飲食店経営」を健全化させるための確認リスト。コスト管理から給付金まで

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緊急事態宣言が延長され、特に居酒屋などの酒類提供店舗には厳しい状況が続いている。今回は、この苦しい状況を持ちこたえるために必要な取り組みをいくつか紹介する。

飲食店が活用できる助成金や給付金について

時短協力金はもちろんだが、意外と活用していないと聞くのが雇用調整助成金である。緊急事態宣言が延長されたことを踏まえて、9月末までとしていた特例措置が11月末まで継続される予定である。雇用保険被保険者以外の労働者への休業手当も緊急雇用安定助成金によって助成されるため、よくわからなければ社会保険労務士に相談してみるといいだろう。

申請要件にあてはまれば、事業再構築補助金や小規模事業者持続化補助金なども活用しやすい補助金である。これらは、採択してから入金まで時間がかかること、採択率も低いというポイントがるため、しっかりとした事業計画書が必要となる。中小企業診断士などの専門家に相談するのがおすすめである。また、少額ではあるが、都道府県によっては感染症対策の消耗品(アクリル板など)が対象となる助成金があるので、感染症対策をアピールする上でも必要に応じて申請するとよいだろう。

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コロナ禍の飲食店経営はどんな数字に着目すべきか?

時短営業や酒類提供停止が求められている状況で、利益を出すにはどんな工夫が必要か? 新型コロナウイルスの影響も1年以上になるので、固定費の削減などは大分できていると思うが、広告費に関しては、ずっと掲載しているものの、効果が落ちている広告などもあるかもしれないので、費用対効果は再度確認するとよいだろう。

FLに関しては、特に人件費は要注意だ。毎年10月に最低賃金が変更されるが、今年は平均28円アップと大幅に上昇となる。また、スタッフが感染して出勤ができず、他のスタッフにしわ寄せがくるケースも想定される。特定のスタッフに業務が集中して残業代が発生しているようであれば、業務負荷の平準化に取り組み残業代を減らすように管理しよう。

原価に関しては、原価率の変動に関して注意しよう。特に過剰在庫や廃棄などで原価率が上がってしまうケースは多い。予想売上が外れるのは仕方がないが、発注量や発注頻度が適正化、賞味期限切れによるロスが多いのであれば、有効活用する方法は無いか再検討するといいだろう。

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テイクアウトやデリバリーをやるべきか?

テイクアウトやデリバリーは投資や追加コストをできるだけ抑えて実施可能なのであれば、取り組んでみてもいいだろう。店舗で提供しているメニューをテイクアウトやデリバリー対応にするだけであれば、投資や追加コストはそれほどかからないため、すぐ始めることができる。

例えば居酒屋業態で、営業していないランチタイムの厨房を使って、新しいブランド・業態でテイクアウト・デリバリーに取り組むのであれば、慎重に考えたほうがいい。この場合は、自社ブランドにしてもフランチャイズ加盟するにしても、投資や追加コストが大きくかかる。一方、競争相手は非常に多いため、売上が上がらない可能性も高い。

デリバリーやテイクアウトで成功しているのは、投資や追加コストを抑えた上で、複数の業態もしくはメニューを1つのキッチンで対応しているというところが多い。また、現在はデリバリーやテイクアウトの利用が多くても、コロナが落ち着いたあとも同様かどうかは商圏や業態によって異なるので、見極めが必要である。

今回は、緊急事態宣言での飲食店の経営について説明した。緊急事態宣言が出たり、従業員に感染者が出たりと、店舗を営業するのも大変なので、協力金だけもらって休業するという店舗も多いだろう。一方で、要請に沿った範囲で営業を続けることで、お客様に応援してもらうことや、コロナが落ち着いたあとで休業していた店舗よりいち早くお客様が戻ってくる可能性もある。営業していることが、最大のPRということもあるので、可能な限り店舗を開けてお客様を迎えてほしいと思う。

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若林和哉

ライター: 若林和哉

株式会社パートナー経営企画・代表取締役。飲食店の勤務経験や中小企業診断士の資格を生かして、事業計画作成や資金調達の支援、フランチャイズ関連のWebページの執筆やセミナー講師などを務める。好きなお店は、ラーメン・カフェ・日本酒のおいしい居酒屋など。https://パートナー経営企画.com/