「ホットペッパーグルメ外食総研2021」開催。コロナ禍の外食市場と飲食店におけるDX活用
9月14日、リクルートによるイベント「ホットペッパーグルメ外食総研セミナー」が開催された。今年で6回目となる今回のテーマは「コロナ禍の外食市場の変化・ワクチン接種後の外食動向、DXと人で生み出す飲食店の新たな価値」。第一部では2020年~2021年の外食市場調査の解説、第二部では飲食業界のDX活用について、飲食店経営者を交えたトークセッションが行われた。
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外食市場は昨年から変わらず不況、中食は好調
第一部ではホットペッパーグルメ外食総研・上席研究員の稲垣昌宏氏より、2020年~2021年の外食及び中食市場の状況について解説があった。リクルートが毎月約1万人に行っている「外食市場調査」によれば、2020年度の外食実施率は52%で前年比-22.5%、外食頻度の平均は月に3.52回で前年比-0.61回、外食額の平均は2,414円で前年比-6.6%。これらを掛け合わせると外食市場規模が2兆1630億円となり、前年比-44.8%になった。
特に大きく変化したのは、飲酒事情。業態を食事主体、飲酒主体、軽食主体に分類してみると、飲酒主体の外食回数は2020年度全体で延べ1億2,979万回。前年度比43.8%と6割近く減少している。さらに飲酒主体の外食市場規模は4,732億円で前年度比42.8%と、こちらも約6割減となった。
業態別としては、コロナ前は「居酒屋」が回数・売上ともに一番大きなシェアを持っていたが、コロナ禍に突入した2020年度からは不調に。居酒屋での食事回数は前年度比43.7%と、6割近く減少している。一方で「ファミリーレストラン、回転ずし」は、全業態の外食回数のうちどのくらいのシェアを占めるかを見る「延べ回数シェア」で最も多い14.6%を獲得。コロナ禍で飲酒を避ける人が増える中、手早く食べられ、家族利用もしやすい業態の利用率が高まっている。
外食利用が減少している中、中食は好調だ。2020年度は中食の頻度や購入回数が増え、中食市場は1兆4,715億円で前年度比+19.8%。消費者の外食機会が減り、その分、テイクアウトやデリバリーの需要が高まったことが影響していると考えられる。
続いて、2021年4月~7月の外食・中食市場の状況についても解説があった。同期間の外食市場規模は5,850億円。前年度比では+7.6%だが、コロナ前の2019年と比べると-56.6%。コロナ禍が長引き、引き続き外食市場が苦境に立たされている状況だ。
一方、中食市場は、外食と相反する動きで好調。2021年4月~7月の中食市場規模は+1.6%。2019年度比でも+25.8%となっており「非常に調子が良い」と稲垣氏。コロナ禍で中食文化が定着し、2021年も引き続き需要が高まっているということだろう。
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ワクチン接種に伴い、外食意向は変化するのか?
2021年7月には20代~60代の1,034名に対してワクチン接種状況と外食意向を調査。「世の中の人々が新型コロナウイルスワクチンを指定回数接種し、一定期間経過した後に、外食に行こうと思いますか?」という質問に対して、ワクチン接種後も「当分は様子を見て外食は控える」と回答した人は34.9%。ワクチン接種以前の2020年6月に「現在、外食に行こうと思いますか?」と質問した際とあまり変わらない結果となった。
さらに「ワクチン接種後をイメージした際に、外食頻度が変化すると考えた理由」について聞いたところ、「感染しないか不安だから」と回答した人が73.8%、次いで「まだ自粛すべきだと思うから」と回答した人が51%に上った。これらもやはり、最初に大きく感染が広がった2020年6月と変わらない様子が窺え、ワクチンを接種しているか・していないかで外食意向が変化するとは考えにくい結果となった。
ワクチン接種後に外食に行きたいと回答した人に「実際に行きたいと考えている予定の外食店」を聞いてみると、一番多かった回答は「焼肉・ステーキ・ハンバーグ等の専業店」で53.9%。続いて「ファミリーレストラン・回転ずし等」が46.1%だった。
稲垣氏はこの回答から「ワクチン接種後も業態の人気の傾向はあまり変わる気配がないかなと思っています」と分析。さらに2020年のセミナーで解説した外食市場の状況と比べ、以下のように総括した。
「コロナ禍の外食動向は、2020年9月のセミナーでお話しした予測とほぼ同じです。『コロナ禍でこうなるのではないか?』とお伝えしていたことが、すべてデータで証明されたと言えます。また、今後の見通しも不透明な状況ですので、しばらくこの傾向が続くのではないかと考えています」