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コロナ禍で2店目を出店! せいろ蒸し酒場『オオサカチャオメン』の業態開発力

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今年4月にオープンした『肉汁シウマイとせいろ蒸し オオサカチャオメン お初天神裏参道』のスタッフの皆さん。前列左から2番目がオーナーの上甲博司さん

大阪で“せいろ蒸し酒場”として店舗展開する『オオサカチャオメン』。2019年10月に本町へ1号店を構えて以降、コロナ禍でも着実に知名度を上げ、今年4月には梅田へ2号店をオープンさせた。

お酒のアテとして楽しめるヘルシー過ぎない蒸し料理はもちろん、注目は店名にもなっている「チャオメン」だ。中国の麺料理で、日本ではそれほど馴染みのない存在だが、同店のオーナー・上甲博司さんは「チャオメンの美味しさを世の中に広めたい」という思いを軸に、独自の視点で業態づくりを行ってきた。その戦略とは、どのようなものだろうか。

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思い出の「チャオメン」を広め、日常の麺料理にしたい

上甲さんは、大阪の繁盛店『海老バル orb』を運営する株式会社orbで業態開発をはじめ、梅田、難波、天満、福島などグルメスポットへの出店を手掛けてきた経歴を持つ。同社の創業時から12年にわたり事業拡大に貢献してきたが、「自らの手で一から業態開発したい」と思い立ち、独立オープンしたのが『オオサカチャオメン』だ。

店名に冠したチャオメンは、上甲さんにとって思い出の麺料理。以前、大阪・上新庄に住んでいたとき、近隣の中華料理店で提供される「炒麺(チャオメン)」が大好物で通っていたのだとか。そのチャオメンは野菜や海老など具だくさんの餡(あん)を皿に敷き、上からパリパリに焼いた麺をかぶせた、いわゆる餡かけ焼きそばの“逆バージョン”。いつまでもパリパリな麺と素朴な味は、何度でも食べたくなるものだったという。

「チャオメン」(850円)

ところが急にその店が閉店となり、ほかにチャオメンを提供している店にも出会えず、上甲さんは「また食べたい」という思いを持ち続けてきた。そして、自身が独立することを決め、どんな業態にしようかを考えていたときに頭に浮かんだのがチャオメンだったのだ。

「チャオメンの美味しさを広めて、新たな食文化にしたいと思ったんです。例えば、土曜のお昼ごはんとして家庭で食べられるくらい、日常の麺料理にしたい。そのためには、初めからチャオメンの専門店をするのではなく、まだ知られていないチャオメンの魅力を広められるような業態で出店する必要があると考えました。新ジャンルの麺料理を専門にしても定着しづらいので、まずは居酒屋として出店し、メニューの一つとして楽しんでもらうのがいいのではないかと思ったんです」

卵麺を蒸し焼きにすることで外はパリパリ、中はフワッとした食感に仕上げ、醬油ベースの餡といただくチャオメンは、優しい味わいで世代を問わず受け入れられるもの。作り方は教わったわけではなかったが、上甲さんはかつて食べた味を思い出しながら試作を繰り返し、再現したという。

「焼売」(1個160円)

新たな麺文化を創造するために、“せいろ蒸し酒場”で勝負する

居酒屋として業態開発を進める際、上甲さんが注目したのは蒸し料理だった。蒸し料理と言えばヘルシーなイメージがあるため、女性をターゲットに提供する飲食店が多いのだが、上甲さんは和食と中華の要素を合わせることで、お酒のアテにもなると考えたのだ。

「野菜や肉、魚介といった食材をせいろで蒸すと、旨味が増してすごく美味しくなるんです。そこに中華系の醤油ダレやバターなど動物性油脂を加えると、しっかりとしたお酒のすすむ味わいにもなる。だから“ヘルシーすぎない蒸し料理”をコンセプトにした居酒屋として、『オオサカチャオメン』を展開していくことにしました」

数ある蒸し料理の中でも看板メニューとなっているのが、宮崎日南もち豚のあらびき肉を使った、肉汁&肉感たっぷりの「焼売」。ほかにも、「蒸し鶏 葱生姜ソース」などが人気だ。

「まずは居酒屋で展開して、最終的にはチャオメンの専門店を構えたいと考えています。そしてラーメン屋さんでラーメン、餃子、チャーハンのセットを食べられるように、チャオメン、焼売、ちまきのセットを提供したいですね。チャオメンは醤油ベースの優しい味わいなので、子ども、女性、お年寄りまで食べやすいのが魅力。幅広い人に気軽に来てもらえるような“チャオメン屋さん”が目標です」

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松尾友喜

ライター: 松尾友喜

和歌山の地元情報誌の編集部でパンの特集や連載、商品開発を手掛けるなど、“パン好き編集者”として活動。2018年に独立し、フリーランスのライター・編集者として、パンをはじめ食関連、旅と街歩き、インタビューなど幅広い分野で取材・執筆している。