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飲食店の「人手不足」が深刻化、7割以上がアルバイト不足と厳しい状況。”求人増加”で人材争奪戦も

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画像素材:PIXTA

現在、広い地域でまん延防止等重点措置が適用されており、国や自治体の要請に従いながら営業を続けている飲食店も多い。そんななか、深刻な問題となっているのが人手不足だ。今回は、人手不足に対する企業の見解について調査したデータと、求人広告掲載件数の集計データから、飲食業界の現状を見ていきたい。

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居酒屋などでアルバイト・パートが不足。「人手不足が加速している」との声も

帝国データバンクは、人手不足に対する企業の見解について調査を実施。調査は2022年1月18日~31日の期間、全国の2万4,072社を対象に行い、そのうち49.8%の1万1,981社から有効回答を得た。

調査の結果、アルバイトやパートなどの非正社員が不足している企業は28.0%(前年同月比8.9ポイント増)だった。業種別では個人消費関連の業種が上位に並んでおり、なかでも「飲食店(76.6%)」は唯一7割以上の企業で非正社員が不足していると回答。「人手不足がどんどん加速している」といった声もあげられた。

また、正社員が不足している企業は47.8%に上り、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年2月を上回る水準まで上昇している。

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求人広告掲載件数が約3割増加。飲食店の求人が回復傾向に

一方、全国求人情報協会の調査によると、2022年1月の求人広告掲載件数は前年同月比29.7%増の110万468件だった。

職種別の求人広告掲載件数を見てみると、「サービス(調理)」が前年同月比63.2%増の100万616件、「サービス(給仕)」は前年同月比67.1%増の13万3,521件。緊急事態宣言の解除などで飲食店の求人が伸びていることがうかがえる。

さらに、雇用形態別件数は、正社員が前年同月比25.8%増の198,792件、アルバイト・パートが25.9%増の679,880件、契約社員などが18.1%増の50,716件。特にアルバイト・パートの掲載件数の多さが目立つ。

しかし、これまで飲食店でアルバイト・パートとして働いてきた人たちは、コロナ禍で解雇された、シフトを減らされたなどでほかの仕事と掛け持ちをしているケースも多く、働き手の間では飲食店離れが広がっている。飲食業界の求職者数が限られる中、求人広告の掲載が増えることで、業界内での人材争奪戦が起こっているのが現状だ。2021年10月より最低賃金の引き上げが実施されたことも踏まえると、人材確保に動きつつも、今後の労働人口の減少を見据えた省人化への取り組みを進めていくことが重要だろう。

※参考データ
帝国データバンクによる「人手不足に対する企業の動向調査(2022年1月)」
全国求人情報協会による「求人広告掲載件数等集計結果(2022年1月分)」

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松尾友喜

ライター: 松尾友喜

和歌山の地元情報誌の編集部でパンの特集や連載、商品開発を手掛けるなど、“パン好き編集者”として活動。2018年に独立し、フリーランスのライター・編集者として、パンをはじめ食関連、旅と街歩き、インタビューなど幅広い分野で取材・執筆している。