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飲食店の人手不足再び。従業員の給与は上昇傾向、4月より「賃上げ促進税制」も施行

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まん延防止措置が解除されたことで飲食店への客足も戻りつつあるが、一方であらためて人手不足の深刻化が浮き彫りになっている。原材料の価格高騰もあり、商品の値上げに踏み切る飲食店も増えているが、人材争奪戦が激化していることから従業員の賃金は上昇傾向にあるようだ。

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東京の平均時給は前年比+35円、平均月給は前年比+7,988円

弊社の求人サービスが今年3月に実施した調査でも、東京都の平均時給は1,175円(前月比+6円・前年同月比+35円)、平均月給は270,469円(前月比+448円・前年同月比+7,988円)と賃金の上昇傾向が見て取れる。

厳しい経営状況のなか、賃上げを実施する飲食店も

飲食業界はコロナ禍の影響に加え、原材料費の高騰で厳しい経営環境が続いているが、外食チェーンを中心に賃上げに向けた取り組みを行う飲食店も出てきている。

■鳥貴族
焼き鳥チェーン『鳥貴族』は、原材料高騰への対応のほか、従業員の採用や待遇改善に取り組むため、商品価格を全品327円均一から350円均一に改定した。同社では昨年の休業期間中に多くのアルバイトが辞めてしまい、これまでも100店舗以上で時給を上げている。

■サイゼリヤ
イタリアンレストラン『サイゼリヤ』は、深夜など来店客が少ない時間帯の営業時間を見直したほか、省エネ・省力化を推進し、コスト削減を徹底することで、賃上げ分の原資を確保する方針を固めた。

■ゼンショーホールディングス
牛丼チェーン『すき家』やファミリーレストラン『ココス』などを展開するゼンショーホールディングスは、正社員の基本給の水準を2030年まで毎年底上げするベースアップを実施することを決めた。アルバイト・パートなど非正社員の時給についても段階的に上げていくという。

■ワタミホールディングス
外食大手のワタミは、一部店舗で時給を上げてアルバイトの募集を開始した。同社では人材の確保が追い付かず、現在約8割の店舗で深夜営業を行っていないが、体制が整った店舗から通常営業を再開するという。

飲食業界では労働力不足が深刻な問題となっており、人材確保のための賃上げの動きが目立ち始めた。4月1日には、令和4年度の税制改正を経て、新たにスタートした「賃上げ促進税制」も施行されている。

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令和4年度の税制改正で控除率アップ。4月1日より「賃上げ促進税制」施行開始

「賃上げ促進税制」とは、従業員の給与支給額を前年度より一定以上アップさせた企業や個人事業主を対象に、一定の税額控除を行う制度。令和4年度の税制改正で、賃上げ税制のさらなる見直しが盛り込まれたため、中小企業においては、給与支給増加額などに対して最大25%の控除率だったのが、最大40%へと引き上げられた。雇用者全体の給与等支給額を前年比1.5%~2.5%以上増額する、また、職業訓練費を前年比10%以上増加する、などの要件を満たす中小企業はかなり限られるとの見方もあるが、こうした動きにより、今後さらに賃上げを検討する飲食店も増えてきそうだ。

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上條真由美

ライター: 上條真由美

長野県安曇野市出身。ファッション誌・テレビ情報誌の編集者、求人ライターを経て独立。インタビューしたり執筆したり、平日の昼間にゴロゴロしたりしている。肉食・ビール党・猫背。カフェと落語が好き。