飲食店.COM通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
Foodist Mediaの新着記事をお知らせします(毎週2回配信)
powered by 飲食店.COM ログイン

スシローに「おとり広告」で措置命令。飲食店が販促で気をつけるべき点は?

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

2022年6月9日、回転寿司チェーン『スシロー』の運営会社である「あきんどスシロー」が、消費者庁からおとり広告を行ったとして景品表示法に基づく措置命令を受けた。あきんどスシローは、2021年9月から11月にかけて、キャンペーンとして「新物!濃厚うに包み」(1貫税込110円)や「冬の味覚!豪華かにづくし」(4貫税込858円)などの商品を販売。テレビコマーシャルなどで宣伝していたものの、実際には全国の店舗の9割近い店舗で販売できない状態だったという。

【注目記事】飲食店の食材原価率、業態別の目安や正しい計算方法を知ろう。フードロス防止のコツも

公正取引委員会が「一般消費者に与えた影響は大きい」と指摘

公正取引委員会の調査によると、あきんどスシローはテレビコマーシャルなどでキャンペーン商品を宣伝していたが、「冬の味覚!豪華かにづくし」を終日販売しない日のあった店舗が全国594店舗(当時)のうち583店舗あった。また、提供期間である2021年11月26日~12月12日のうち半分以上の日数で提供できなかった店舗は70%強にも上るといった点が指摘された。

あきんどスシローは、キャンペーン商品の在庫がなくなる恐れがあったことから、商品の販売を中止。しかし、テレビコマーシャルなどの宣伝は続けていたという。

調査を行った公正取引委員会近畿中国四国事務所の真渕博所長は、「回転寿司市場で売上シェア1位の会社が行った不当な表示で、一般消費者に与えた影響は大きい」と指摘。これらの行為を消費者庁は「おとり広告」と判断し、再発防止を求める措置命令を出した。

購入できないものを購入できるかのように表示する「おとり広告」

おとり広告とは、景品表示法が規定する不当表示の類型のひとつ。不当表示には、実際よりも優れた商品だと誤認させる「優良誤認」と消費者に有利な取引だと誤認させる「有利誤認」、そして、実際には購入できないのにも関わらず購入できるかのように表示した「おとり広告」がある。

「おとり広告」は、景品表示法に基づく公正取引委員会の「おとり広告に関する表示」により下記のように規定されている。

(1)取引の申出に係る商品・サービスについて、取引を行うための準備がなされていない場合のその商品・サービスについての表示

(2)取引の申出に係る商品・サービスの供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明りょうに記載されていない場合のその商品・サービスについての表示

(3)取引の申出に係る商品・サービスの供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明りょうに記載されていない場合のその商品・サービスについての表示

(4)取引の申出に係る商品・サービスについて、合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われる場合その他実際には取引する意思がない場合のその商品・サービスについての表示

なお、「優良誤認」と「有利誤認」は事業者に対する課徴金というペナルティがあるものの、「おとり広告」には課徴金はなく、事業者名の公表や措置命令にとどまる。ただし、命令に従わなければ、3億円以下の罰金や2年以下の懲役などが科される可能性もある。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

【注目記事】コロナ禍で加速する外食の「未来」。竹田クニ氏が語る「これからの飲食店」

お客様に対して誠実な対応がより強く求められる

前述の真渕博所長は「材料が足りなくなった段階で消費者に知らせたり、表示を改めたりするなどさまざまな対応があったと考えられる。表示と実際が異ならないようにすることが重要」と指摘。それなのに、今回のケースではなぜそのような対応ができなかったのだろうか。

理由としては、表示内容が不明確であったということが挙げられる。あきんどスシローは「売切御免」という文句で広告を打ち出していたが、実際には数量や時間などが明確にされていなかった。販売数量などを明確にした上での「売切御免」であればよいが、販売期間中すべての日で提供するかのように表示していたにもかかわらず、店舗によっては終日販売しない日もあったことが問題だと指摘されている。

その裏では、水産資源の不足も考えられる。現在は世界中で水産資源の需要が増えており、水産資源も徐々に減ってきているのが現状だ。さらに、日本は魚介類の自給率が2019年で56%にまで落ち込んでおり、今後も水産資源不足が懸念される。

あきんどスシローの親会社であるFOOD & LIFE COMPANIESは、「販売予測が不十分で欠品が生じた」としているが、そうなったときに飲食店に求められるのは、お客様に対して誠実に対応するということだろう。予定した数量の材料が確保できなくなったようなときには、できるだけ速やかに、正確に表示を改める必要がある。

今回のあきんどスシローに対する措置命令は、多くのメディアでも取り上げられ、飲食店を含む多くの事業者にとっての注意喚起にもなった。法やルールを守るのはもちろんのこと、お客様に対して誠実な対応をすることが、今後はより強く求められる。

この記事は役に立ちましたか?
はい いいえ
Pocket
follow us in feedly
飲食店.COM通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
Foodist Mediaの新着記事をお知らせします(毎週2回配信)
富江弘幸

About 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com