飲食店における効率的な「換気対策」とは? 新型コロナ“第7波”で分科会が緊急提言

画像素材:PIXTA
夏場の飲食店において、エアコンの活用は欠かせない。お客さまにとって快適な環境をつくることはもちろん、スタッフの熱中症を防ぐためにも必須だ。一方でエアコンの使用時は、換気が不十分になりやすい。
また現在、新型コロナ感染の「第7波」が到来しているが、現時点(7月26日)では政府から行動制限要請が出されていないため、これまで以上に自主的な感染防止対策が求められる。
そんな折の7月14日、新型コロナウイルス感染症対策分科会は「感染拡大防止のための効果的な換気について」との提言を発表した。今回はこの分科会の提言から、飲食店における換気対策の考え方や、効果的な換気のポイントを紹介する。
【注目記事】飲食店のコロナ対策、注意すべきは「マイクロ飛沫感染」。アクリル板だけでは不十分?
屋内の飲食店における「換気対策の考え方」
店内で複数の利用客が過ごす飲食店では、「エアロゾル感染」と「飛沫感染」の両方の対策が必要とされている。
■エアロゾル感染対策
「エアロゾル」は、空中に浮遊する粒子のこと。「エアロゾル感染」とはウイルスを含むエアロゾルを吸引することで感染することをいう。
・室内の2方向に窓がある場合…人が集まり、エアロゾル発生が多そうなエリアから扇風機やサーキュレータで排気し、反対側から外気を取り入れる
・換気扇がある場合…換気扇で排気し、反対側から外気を取り入れる
・換気扇も窓もない場合…空気清浄機でエアロゾルを捕集する

新型コロナウイルス感染症対策分科会「感染拡大防止のための効果的な換気について」より
■飛沫感染対策
「飛沫感染」とは、ウイルスを含む飛沫が口、鼻、目などの露出した粘膜に付着することにより感染すること。予防にはマスクの装着はもちろん、飛沫放出が多いと想定される場合にはパーティションなどを設置する。
ただし、設置方法を誤ると換気を阻害し兼ねないため、次の点を確認して欲しい。
【高いパーティション(天井からのカーテン、目を覆う程度の高さより高いパーティション)などを用いる場合】
・空気の流れに対して平行に配置する
・高いパーティションと壁で囲まれた空間ではCO2濃度を測定し、濃度が高い場合には空気清浄機やファンを用いて換気を促す
・ファンを用いる場合には、風下での感染対策のために首振りやスイングを用いる
・高いパーティションの隙間には気流が集中するため、その風下には席を配置しない

新型コロナウイルス感染症対策分科会「感染拡大防止のための効果的な換気について」より
【低いパーティション(目を覆う程度の高さのパーティション)を用いる場合】
・横の人との距離を1m程度以上確保できる場合は、空気によどみを作らないように、3方向を塞がないように配置する

新型コロナウイルス感染症対策分科会「感染拡大防止のための効果的な換気について」より
【注目記事】自由が丘に“立ち飲み”ブームを。『ニショク』など人気5店舗がスタンプラリー開催
「効果的な換気のポイント」を押さえ、確実な取り組みを
必要な換気量の確保は感染対策の基本とされている。対策を形式的なものにしないために、次の点に配慮したい。
・二酸化炭素濃度測定器(CO2センサー)を活用する際、目安として二酸化炭素濃度を概ね1,000ppm以下に維持すること(ただし、適切な換気と気流ができていることが前提)。
・窓を開けて換気を行う場合、外気条件と室内環境に考慮する。室内環境の目安は、温度18℃~28℃、相対湿度40%~70%。
・必要な換気量を確保できない場合、換気扇、扇風機、サーキュレータのほか、高性能微粒子のフィルタ付き空気清浄機の使用も考えられる。使用時に備え、定期的な装置の確認やフィルタ清掃も重要。また、空気清浄機は二酸化炭素濃度を下げることはできない点に留意しておきたい。
冒頭でも述べたが、エアコンの使用で室内を閉め切りがちな夏場においては、これまで以上に換気の重要性を再認識する必要がある。飲食店においては、店舗ごとのレイアウトや環境に合わせた正しい換気を実施していってほしい。
