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飲食店の「時短要請」回避し、経済回復を優先か。“第7波”拡大も行動制限はなし

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7月28日、国内の新型コロナウイルス新規感染者数が初めて23万人を超えた。第6波のピークだった2月3日の約10万4000人から、およそ倍増している。BA.5という変異種に置き換わり全国的に感染が急拡大しているが、政府は医療体制の強化を進めることで、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの行動制限は行わない考えを発表している。

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「感染原因は飲食店ではなく家庭内だ」との見方も

全国的に感染急拡大が進み、発熱外来が受診しづらくなっているほか、各地でコロナ患者向けの病床使用率が上がっている。この現状に対して政府は、「最大限の警戒が必要だ」と危機感を示しながらも、行動制限には一貫して消極的な姿勢を示す。飲食店や観光業の自粛要請などで国民の行動制限をするのではなく、医療体制の強化や、国民一人ひとりの感染対策の徹底を促すことで医療ひっ迫を回避し、経済活動の回復に向けた取り組みを段階的に強化していく方針だ。

岸田総理は「感染者数は増えているが、今のところ重傷者数や死亡者数は低水準だ。4回目のワクチン接種の拡大など、メリハリの効いた対策を行いながら社会経済活動を維持するよう努めていく」と強調した。行動制限を行わない主な理由としては、これまで6度の感染拡大の波を経験し、対応力が強化されたことが挙げられている。また政府関係者の間では「感染原因は飲食店ではなく家庭内だ」との見方が強まっており、飲食店の時短営業を含む行動規制の効果に懐疑的な様子もうかがえる。

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医療ひっ迫を未然に回避し、経済活動の回復を優先

行動制限を行わないかわりに、医療体制の確保に万全を期す構えだ。後藤厚労相は全国知事会とのオンライン会合で、コロナ患者向け病床を5万床まで増やすことや、国が買い上げた抗原検査キットを無料配布するオペレーションに関して、全国の自治体に協力を求めた。また、ワクチン接種の重要性を繰り返し訴えており、特に年代別接種率が低い20〜30代への3回目接種を重要視する声もあがっている。

医療体制を強化する一方で、濃厚接触者の行動制限は緩和された。濃厚接触者に求める待機期間を原則7日間から5日間へ短縮し、抗原定性検査キットで2日目と3日目に陰性が確認できた場合は、3日目で待機期間を解除する。また、家庭内や医療機関、高齢者施設などを除いて、濃厚接触者の特定や行動制限は行わないこととした。

第7波となる全国的な感染拡大を受けて政府は、これまで同様の行動制限を基本とした感染対策を避け、経済活動を重視する姿勢に舵を切った。これによって、国内ではついに感染拡大を抑えながら経済活動を行う、ウィズコロナ時代が本格化しようとしている。感染流行から3年が経ったいま、日本経済は新たな局面を迎えたと言えるだろう。

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。