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『六本木クラス』の「鶏のから揚げ」の次はなに? ドラマが牽引するグルメトレンド

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

9月29日に最終回の放送が予定されているテレビドラマ『六本木クラス』(テレビ朝日)。飲食業界を舞台にしたドラマだけに、毎回、放送を楽しみにしている飲食店関係者も多いのではないだろうか。

作中では近年のグルメトレンドでもある「から揚げ」が重要なメニューとして登場。これを受け、からあげ専門店『から揚げの天才』でコラボ商品が発売されるなど、ドラマの勢いとともに外食シーンを盛り上げる動きも見られた。

このように人気のドラマや映画に登場した食べ物が話題になることは珍しくない。今回はこれまでに生まれた食のブームと映像作品との関係性を振り返る。

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『六本木クラス』コラボレーション商品の売上は3倍に

韓国ドラマ『梨泰院クラス』の日本版リメイク作品『六本木クラス』が9月29日に最終回を迎える。物語もまさにクライマックス、世間からもますます注目が集まっている。

『六本木クラス』はオリジナルの『梨泰院クラス』と同様に飲食店経営をテーマにした下剋上ストーリー。絶望の縁に立たされた主人公が、金と権力を振りかざす大手外食企業への復讐心を胸に、個人経営の居酒屋を開店させ、仲間とともに戦う話である。

物語には、ライバルである長屋ホールディングスの原点である「しょうが味噌から揚げ」に対し、主人公らが試行錯誤の末に開発した「二代目みやべ特製 にんにくコーラから揚げ」が登場する。この「鶏のから揚げ」は作品を飛び出し、から揚げ専門店『から揚げの天才』とコラボレーション。期間限定で発売され、ドラマ同様にヒットした。同社によれば通常の期間限定メニューの3倍の売上を叩き出しているという。

ちなみに、原作の『梨泰院クラス』では、から揚げではなく特製コチュジャンを使った「スンドゥブチゲ」が物語の鍵となっているが、こちらもドラマファンの間で「食べたい」と話題に。

同じく韓国ドラマ『愛の不時着』でも、登場人物が韓国の人気チキンチェーン『bb.qオリーブチキンカフェ』のヤンニョムチキンを食べるシーンがたびたび挿入され、Netflix配信以降、日本でもブームが訪れた。

画像素材:PIXTA

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劇中の飲食シーンにそそられる! 食欲を掻き立てられてきた映像作品の数々

上で挙げたように、人気のドラマや映画が視聴者の食欲を喚起させ、グルメシーンに大きなブームを巻き起こすことがある。ここからは過去の映像作品でフィーチャーされてきた「食」のほんの一部を挙げていこう。

■現実でも「あの味」が味わえる”コラボ商品”
六本木クラス同様、ドラマとのコラボ商品はしばしばヒットを生む。コンビニスイーツ開発を題材にしたテレビドラマ『この恋あたためますか(2020)』で、主人公がやっとの思いで開発した「チョコっとリラックシュー」が、実際にセブンイレブンで発売され、売り切れ続出の人気商品となった。また過去には、テレビドラマ『コーチ(1996)』で登場した缶詰の「さばカレー」が、入手困難の大ヒットを経て現在では不動の定番商品となっている。

■グルメ系に地方創生。ドラマを彩る「食」
食べ物にフォーカスしたグルメ系ドラマは、かつての『深夜食堂(2009~)』を皮切りに、『孤独のグルメ(2012〜)』『ワカコ酒(2015~)』など、主人公が実際に存在する飲食店へ訪問し食事をする様子がメインに描かれるようになった。こうした作品は「テレ東深夜ドラマ」に多く見られ、かつての情報番組の食レポに取って代わり、新しいテレビ番組のジャンルとして確立しつつある。

最近のドラマ作品でいえば、『ミステリと言う勿れ(2022)』で菅田将暉演じる主人公が作る自家製カレーや、『ちむどんどん(放送中)』で毎週クローズアップされる沖縄料理が話題になったことも記憶に新しい。

また、マイナーだった食べ物が作品によって脚光を浴びることも。岩手県久慈市山形町の郷土料理「まめぶ」は、NHK朝の連続小説『あまちゃん(2013)』の放送によって、一気に全国区のトレンドとなった。

■しばしば脚光を浴びるアニメの「食」
アニメ作品も食と無関係ではない。通称「ジブリ飯」と呼ばれる、宮崎駿作品に登場する食べ物の数々。『天空の城ラピュタ(1986)』でパズーがつくる「目玉焼きパン」や、シータのまかない「シチュー」、『ハウルの動く城(2004)』に登場するカリカリに焼かれた「ベーコンエッグ」はあまりにも有名で、再現メニューに挑戦する人も。

またアニメ『SPY×FAMILY(2022)』では人気キャラ・アーニャの大好物である「ピーナッツ」に注目が集まっている。「アーニャ、ピーナッツが好き」というセリフ、そしてオープニング主題歌である「ミックスナッツ」(Official髭男dism)とあいまって、「ピーナッツが食べたくなる」という声もSNS上で多く見られている。

話題作から次のトレンドを予測。インスピレーションを膨らませた新商品開発を

このように映画やドラマ、アニメといった映像作品は数々の食のトレンドを生み出してきた。10月からは新ドラマ・新アニメの放送が開始となる。上でも挙げた『孤独のグルメ』と『SPY×FAMILY』は続編の放送が決定している。ほか、漁業をテーマとするテレビドラマ『ファーストペンギン!』では水産品の食べ物描写にも注目したい。

「次はピーナッツが来る!」「水産物がアツい!」となるとは限らないが、「どんな食べ物が作品の中でフィーチャーされているか」という視点で映像作品を観ることで、次のトレンドが見えてくることもある。飲食店経営者においては話題になりそうな作品やトレンド入りしそうな食べ物を予測し、そこからインスピレーションを発展させ、新メニュー開発の参考にするといいだろう。

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。