飲食店の「第三者認証」基準を緩和。レジ前のパーティションなど不要に

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今月8日、政府は「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を改定。これに伴い、飲食店における第三者認証制度の「感染症予防対策に係る認証の基準」も見直された。
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第三者認証制度とは、感染症防止対策を講じる飲食店に対し、各都道府県が「お墨付き」を付与するもの。各都道府県は、認証を希望する飲食店を個別訪問し、基準を満たしているか確認・指導する。遵守状況はデータベース化して公表し、認証後も各店舗の再調査を行うなど徹底している。
この対策基準や確認方法は、専門家等の意見をもとに、内閣官房、厚生労働省、農林水産省の3省によって合同で出された規定だ。最新の知見を反映した内容にするため基準案は随時見直されており、前回の改定は1月、今回は6回目となる。
今回大きく変更された認証基準項目は6点。飲食店のオペレーション軽減にも
変更されたポイントは以下の通りだ。
①レジにパーティションは設置しない
これまで「レジ等での対面接客時に、アクリル板、透明ビニールカーテン、パーティションなどで遮蔽」としていた一文が削除され、レジ前のパーティション設置は推奨項目ではなくなった。物理的な遮蔽物は換気を悪くしてエアロゾルを滞留させ、感染リスクを高めるという研究結果も報告されており、こうした見解を採用したものとみられる。
②「トイレの蓋は閉めて」の表示は不要
また、「トイレの蓋を閉めて汚物を流すように表示する」の一文も削除された。実際、新型コロナウイルスは胃液と大腸液によって不活化され、糞便中には感染性ウイルスがほとんど確認されないという研究結果が報告されている。
③卓上調味料の消毒は「退店のたび」でなくて良い
これまで卓上の共用調味料は「客入れ替え時に消毒する」とされていたが、「適時消毒」へ変更された。

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④ビュッフェの取り分け時は手指消毒だけでもOK
ビュッフェでの取り分け時は「使い捨て手袋等の着用及び取り分け用のトングや箸を共有としないことを徹底」としていたものを、「手指の消毒又は使い捨て手袋等の着用を徹底」と変更。手指消毒をすれば、手袋の着用は必須ではなくなった。一方で、「飛沫がかからないようにカバーを設置するなど食品・ドリンクを保護する」の一文が追加されている。
⑤従業員のマスク着用は「常時」でなくても良い
5点目は、従業員の感染症予防についての項目。「常にマスクを着用」から「適切なマスクの正しい着用を徹底する」に修正された。
⑥体調不良、感染時などは「出勤しないよう呼びかける」
6点目は出勤について。「発熱や風邪症状、嘔吐・ 下痢等の症状がある場合には、出勤を停止させる」、「感染した、もしくは感染疑いのある従業員、濃厚接触者として判断された従業員の就業は禁止する」とした文言から、「出勤しないよう呼びかける」との表現に変更された。
今回の変更は、第7波以降の感染状況が落ち着いてきたことを受けて実施されたもの。基本方針には飲食店の第三者認証だけでなく、療養期間短縮なども盛り込まれており、政府の感染症対策そのものが緩和されている印象だ。飲食店においては改めて変更点を確認し、感染対策のオペレーションを更新するよう努めてほしい。
