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個人飲食店こそ配膳ロボットを導入すべき4つの理由。おすすめ機種も

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配膳ロボット『PEANUT』。株式会社Styleのプレスリリースより

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、この2年余りで私たちの衛生面に対する意識は大きく変わった。同時にサービスにおける非対面・非接触へのニーズも高まっている。近頃、大手外食チェーン店などで見かける「配膳ロボット」はそうしたニーズが追い風となり、2021年以降、急速に普及しつつある。

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店内をスムーズに移動する「配膳ロボット」

ロボット搭載のトレーに商品を載せ、自動でお客のテーブルまで届けることを可能にしたのが「配膳ロボット」だ。配膳が終わると自動で厨房に戻るだけでなく、お客を指定のテーブルに案内するほか、水やおしぼりを提供してさらに下げ膳するといった、幅広いホール業務に対応する機種も存在する。

一方で「きちんと配膳できるのか」「店内で事故は起きないか」といった心配の声があるのも事実だ。ただ、近年は配膳ロボットのアップデートに努め、移動の際に人とぶつからない仕組みや料理を落とさない工夫などが凝らされている。また、レンタルやリースで配膳ロボットを提供するメーカーも多いため、以前と比べると導入障壁はさほど高くない。こうした流れから、大手チェーン店だけでなく、個人店でも導入を検討する店舗が増えてきている。

感染防止対策だけではない、飲食店にもたらされる多くのメリット

次に、配膳ロボットを導入することで得られる代表的な4つのメリットについて紹介する。

■人手不足の解消
飲食業界では慢性的な人手不足が続いている。配膳ロボットを導入し、店舗運営の方法を見直すことで、現状の従業員数だけでも業務を進めやすくなるだろう。人手に頼りすぎない業務体制が整えば、求人募集や新人教育、シフト・労務管理などに割くコストの削減にも期待できる。

また、従業員が忙しなく店内を動いていると、お客は「声を掛けにくい」と思ってしまう可能性がある。このような状況は追加注文の機会損失になるほか、顧客満足度の低下につながる可能性もあるので要注意だ。

■従業員による接客サービスの充実
配膳ロボットがもたらす省人化により、従業員の手が空いた時間を「人にしかできない業務」に充てることができるため、接客サービスの充実を図りやすくなる。オーダー伺い時であれば丁寧なメニュー説明などに時間を割けるし、食事中にカトラリーを落としたお客がいれば迅速に対応することもできる。客席を見渡す余裕が生まれることで、追加注文を促すタイミングも掴みやすくなるだろう。

■ファミリー層を味方にする話題作り
配膳ロボットはまだまだ目新しい存在であるため、店内でロボットが働いている光景自体、エンターテインメント性がある。簡単なコミュニケーションがとれる機器であれば子どもからの人気が高まり、ファミリー層の獲得も期待できるだろう。また、ロボットの存在自体が話題性を創出し、SNSなどのメディアで拡散されれば、新たな集客の可能性にもつながる。

■感染リスクの低減と安心感
配膳ロボットを介することで、お客と従業員はもちろん、従業員同士の対面機会も減らせる。対面による接客がどれほどの感染リスクを伴うのかという点については様々な見解があるが、安心安全の徹底がもたらす精神面への好影響は大きい。

一方、普及のきっかけはこうした感染症対策によるものだったが、現在は人手不足の解消をはじめとした様々なメリットに注目が寄せられるようになり、マーケットとして著しい成長を遂げている。

配膳ロボット『BellaBot』。写真はPudu Roboticsプレスリリースより

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配膳ロボットのおすすめ機種3選

ここまで配膳ロボットを導入するメリットについて述べてきたが、実際にどういった機種があるのだろうか。ここからは価格やサイズ感などの面で、個人経営の飲食店にもおすすめしたい3機種をご紹介する。

おすすめ①『PEANUT(ピーナッツ)』
3層のパレットの上に料理を載せることができ、それぞれの料理をそれぞれのテーブルに運ぶことが可能。人感センサーを搭載しているため、衝突前に停止できる。

■基本スペック
音声機能:あり
ディスプレイ:あり
サイズ、積載重量:500mm×500mm×1200mm
積載重量:最大10kg/段×3段
価格:<買取>問合せ/<リース>月額6万円~
製造メーカー:Keenon Robotics(中国上海)

おすすめ②『BellaBot(ベラボット)』
ネコ型のフォルムが特徴。簡単な会話でコミュニケーションができるうえ、シーンに合わせて表情を変えられる。トレーに載せる商品に合わせて速度設定が可能。

■基本スペック
音声機能:あり
ディスプレイ:あり
サイズ:565mm×537mm×1290mm 
積載重量:最大40kg(10kg/トレー)
価格:問合せ
製造メーカー:Pudu Robotics

『BellaBot』。写真はPudu Roboticsプレスリリースより

おすすめ③『Servi(サービィ)』
最短60cmの幅でもスムーズに通り抜けができるため、比較的スペースの小さい店舗でも導入しやすい。汎用性を高めるためにシンプルな操作で指示を出せるように設計されている。

■基本スペック
音声機能:あり
ディスプレイ:なし
サイズ:462mm✕486mm✕1046mm
積載重量:最大30kg(上段/中段:最大10kg 下段:最大25kg)
価格:<買取>問合せ/<レンタル>月額99,800円
製造メーカー:ソフトバンクロボティクス

補助金の活用も視野に、配膳ロボットの導入を検討してみよう

配膳ロボットの導入には補助金制度を活用することもできる。具体的には小規模事業主の販路開拓を目的とした「小規模事業者持続化補助金」のほか、生産性向上のための設備投資を支援する「ものづくり補助金」、ITツールを導入することで業務の効率化・売上アップを図るための「IT導入補助金」など。地方自治体によっては推進事業に取り組んでいるケースもある。

まだまだ決して安価とはいえないツールだが、こうした補助金の活用も視野に入れつつ、長期的な視点で導入を検討してみてはいかがだろうか。

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岩﨑美帆

ライター: 岩﨑美帆

1982年生まれ。NPO活動に没頭した 大学時代、塾講師、広告営業を経て、フリーライターに。食・健康・医療など生と死を結ぶ一本線上にある分野に強い関心がある。紙媒体、Web媒体、書籍原稿などの執筆の他、さまざまな媒体の企画・構成の実績がある。好きな言葉は「Chase the Chance!」