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飲食店の平均給与、東京・大阪・愛知で上昇傾向。人手不足による採用難が理由か

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画像素材:PIXTA

2022年上期(4〜9月)、飲食店スタッフの平均給与額が上昇していることが、弊社が運営する飲食店専門求人情報サイト「求人@飲食店.COM」の調べでわかった。コロナ禍での人員削減から一転、飲食スタッフは再び売り手市場に戻り人材獲得競争が激化している。今回は調査の結果から、地域別・業態別・職種別の平均給与額を紹介する。新規採用や、既存スタッフの待遇見直しの参考にしてもらいたい。

■調査概要
調査対象:「求人@飲食店.COM」掲載の東京都・大阪府・愛知県における求人案件(58,790件)
調査期間:2022年4月〜9月
給与算出方法:求人募集時の給与下限額より算出。少数点以下は四捨五入
調査結果:【2022年度上期飲食店動向4】飲食店の平均給与(業態・職種別)を飲食店ドットコムが発表

2022年度上期は飲食店の平均給与が上昇

求人@飲食店.COMより

2022年上半期の飲食店スタッフの平均給与は、前年同期に比べ東京・大阪・愛知のいずれの地域でも上昇している。社員月給では、東京272,071円(+9,227円)、大阪263,748円(+8,134円)、愛知255,984円(+2,760円)。アルバイト時給でも、東京1,184円(+44円)、大阪1,080円(+42円)、愛知1,038円(+20円)といずれもプラスだ。

2022年度上期は、飲食店への営業制限要請が無く、時短協力金の支給も終了。コロナの影響が落ち着き、求人募集に積極的な飲食店が増え、求人倍率が高まったことが、給与上昇に繋がったと考えられる。

2022年度下期は、入国制限緩和で飲食店の需要増が見込まれること、過去最高の引き上げ幅となった最低賃金改定(時給ベースで全国平均+31円)があることなどから、平均給与のさらなる上昇が予想される。

採用が難しい「居酒屋・ダイニングバー」が高給与を提示&上昇率も最大

求人@飲食店.COMより

続いて主要5業態別に比較してみよう。東京の平均給与に関して、前年同期比で上昇額が高かった順に列挙すると、「居酒屋・ダイニングバー」280,331円(+11,581円)、「洋食・西洋料理」272,155円(+9,880円)、「カフェ・喫茶店」253,977円(+8,832円)、「和食」273,946円(+7,257円)、「イタリアン」268,338円(+5,757円)の順になった。

比較的採用が難しいとされる「居酒屋・ダイニングバー」業態が、平均給与額も上昇率も最も高い。このような業態別の傾向は、2022年以降も継続するだろう。

職種別では「調理スタッフ」の平均給与上昇が目立つ

求人@飲食店.COMより

最後に職種別に比較すると、東京・大阪ともに「サービス・ホール」より「調理」を担当するスタッフのほうが平均給与額も上昇率も高いという結果になった。東京では、サービス・ホールは255,725円(+7,620円)、調理は260,528円(+9,170円)。大阪では、サービス・ホールは243,538円(+7,758円)、調理は251,767円(+9,333円)。いずれも人手不足だが、特に専門性がある調理スタッフは、今後ますます獲得が難しくなることを予感させるデータだ。

コロナ禍の影響で買い手市場に転じていた飲食業界の求人事情だが、時短要請や協力金支給が終了した2022年度からは求人を再開する飲食店が増加し、再び売り手市場に戻っている。

人材獲得が難しいとされる地域・業態・職種での求人を筆頭に、給与水準の引き上げはもはや避けられない状況にきている。新規のスタッフ募集はもちろん、既存スタッフの流出防止にも、飲食業界の給与動向をぜひ参考にしてもらいたい。

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。