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12坪で月商700万円超え! 『一味玲玲』が行う、未来志向の販路拡大とリブランディング

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合同会社オリエンタルアンビション代表の神山保志さん

2003年に新橋の焼鳥屋としてスタートした『一味玲玲(イチミリンリン)』。創業者は中国・大連生まれの神山 玲さん。開業からしばらくしてお客さんからのリクエストで作った餃子が話題となり、餃子専門店として2号店、3号店をオープン。食べログ百名店にも選ばれるほどの評価を得ている。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一時、新橋界隈は閑散とした状況に追い込まれてしまう。

そんな状況下でお店のリブランディングを行ったのが、飲食業プロデュースを手がける合同会社オリエンタルアンビション代表の神山保志さんだ。保志さんは旅をテーマにした総合Webメディア「TABIPPO」創設者のひとりで、ミュージシャンをしながらタイを拠点に生活していた経験を持つ。30歳を機に新たに始めたのが、合同会社オリエンタルアンビションの立ち上げであり、『一味玲玲』のリブランディングと飲食業プロデュースであった。その背景には「自分のルーツに感謝したい」という思いと、「古いビジネスモデルだった飲食業界も徐々に変わり始めてきたこともあった」と保志さんは話す。

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新橋の本店近くにオープンした『一味玲玲はなれ』

お客様に見つけてもらう前に、良いものを掘り起こして伝えることの大切さ

『一味玲玲』について保志さんがまず思ったのが、集客に問題はないものの「良いものがあるのに、その良さや楽しみ方を見つけてもらうのがお客様任せになっている」ということ。『一味玲玲』を通じてどんな体験ができるかを提案できていない、いわゆるブランディングが不十分だったのだ。

リニューアルした『一味玲玲』のロゴ

まず保志さんが取り掛かったのは、ブランドのロゴのリブランディング。「NIKEのようにロゴを見ただけでブランドの魅力を感じてお金を出してしまうような、そんなイメージ付けが大事だと思ったんです」と振り返る。そこで権威的なイメージのある明朝体から、中国の歴史が感じられつつも、料理のレベルも高く、男性的過ぎないジェンダーレスなロゴをコンセプトとし、ゴシック体をベースにしたロゴへとリニューアルした。店名も日本語読みの「イチミレイレイ」ではなく、もっと呼びやすくて愛嬌が感じられる「レイレイ」を中国読みにした「イチミリンリン」に変更した。

お取り寄せサイトに限らず、ブランドのデザインでは中国人がやっているエンタテイメント感も大切にしている

続いて手をつけたのが、お取り寄せサイトだ。『一味玲玲』には19種類にも及ぶ餃子のラインナップがあり、それぞれ水餃子、焼き餃子、蒸し餃子の3つからお好みの調理法を選んでオーダーすることができる。さらにメニューは餃子だけではなく、肉まん、オリジナルの麻辣醤など多岐に渡る。これらをオンラインで注文できるよう、サイトを制作した。美大出身ということもあり、起業前からデザインの仕事などは行っていた保志さんが、Wixを使ってサイトを制作し、デザインも行なった。写真も餃子の中身が見える斬新なビジュアルで、シズル感たっぷりに仕上げている。

「SNS発信はあまり好きではない」と話す保志さんだが、新しいポスターやイベント時の投稿の反応は上々だ。母の日の贈り物として餃子を提案した投稿は、インスタグラムなどで20~30代の男性にターゲティングしたというのもあるが評判も良く、ネット販売の売上に貢献した。「中国で餃子は家族みんなで包むものであり、『一味玲玲』の餃子は添加物不使用で体に悪いものが入っていません」。そういう母の味というイメージが見事に母の日のプレゼントにマッチしたようだ。

奥から左回りで「キャベツの水餃子」660円、「シソの焼き餃子」880円、「トマトの蒸し餃子」770円

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。