飲食店ドットコムのサービス

価格高騰の今、飲食店の原価率30%は正しい指標か? これからの「売上とコスト」を考える

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

画像素材:PIXTA

本気で考えよう。従業員育成と、長期勤務しやすい環境づくりのこと

原価率以外のコストについても少し説明しておく。人件費の増加について説明したが、今いる従業員が、できるだけ多くの業務を担当して、できるだけ長期間勤務してくれることを徹底的に考えてみよう。給料自体の増加もコストアップの要因となるが、それよりも求人広告費や教育費のコストのほうがはるかに大きいわけで、長く働いてもらうに越したことはない。

1人の従業員が複数ポジションをこなせれば、ほかの業務を進めることや人員を抑えることができる。長期間働いてくれるのであれば、求人広告や教育にかけるコストダウンも可能だ。給料・働き甲斐・人間関係・福利厚生・職場環境などすべての面から検討して、優秀な従業員が長期間働いてくれる環境を整えよう。また、どういう店舗にしていきたいか、どう働いてほしいかのビジョンや考えを積極的に伝えよう。このようにして育てた優秀な従業員は、新しいお客様を連れてくる、お客様をリピーターにする、新しい従業員を紹介してくれるなど、売上アップやコスト削減にも貢献してくれるはずだ。

画像素材:PIXTA

【注目記事】わずか10坪で月商650万円を誇る『食堂かど。』。異例の「三毛作営業」が功を奏す

これからの飲食店は、どこに向かうべきか

コロナ禍を経て、改めて「飲食店の価値」について考える機会が増えた。家庭では再現しづらい専門的な料理を食べたい、家事の負担を減らしたい、家族や仲間と楽しい時間を過ごしたいなど、外食に対する消費者ニーズはさまざまである。店舗にとっても提供できるサービスは多々あると思うが、まずは自店の魅力、強みを明確にすることが大事である。

魅力や強み=店舗ならではの価値を明確にすることで、必要な利益や原価率、コスト、売上が決まってくる。食材にこだわる業態で、それが売りなのであれば、仕入価格は出し惜しむべきではない。その代わり、仕入価格に合わせた提供価格にすることで、原価率を抑えるようコントロールしていこう。

CSV経営(Creating Shared Value)と言うと大げさかもしれないが、お客や従業員にもしっかりと自店のミッションと売りを伝えていくことが重要だ。これからの時代は1人でも多くのお客に利用してもらい、従業員には少しでも長く働いてもらうことを目指そう。

今回は、飲食店の売上と原価を含むコストの考え方について紹介した。飲食店にとって厳しい状況が続くが、今回紹介した考え方を参考に、自店舗の目標を検討してみてはいかがだろうか。

この記事は役に立ちましたか?
はい いいえ

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
若林和哉

ライター: 若林和哉

株式会社パートナー経営企画・代表取締役。飲食店の勤務経験や中小企業診断士の資格を生かして、事業計画作成や資金調達の支援、フランチャイズ関連のWebページの執筆やセミナー講師などを務める。好きなお店は、ラーメン・カフェ・日本酒のおいしい居酒屋など。https://パートナー経営企画.com/