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ゼロゼロ融資返済に悩む飲食店に「コロナ借換保証制度」を解説。保証額や申請の条件は?

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画像素材:PIXTA

新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした外食売上の低下により、資金繰りに苦悩する飲食店が急増。そうした中、多くの飲食店経営者が金融機関による無担保融資制度、いわゆる「ゼロゼロ融資」を申請し、営業を継続してきた。

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この融資の返済開始時期は、今年の7月から来年にかけて集中すると言われており、事業者によっては今後かなり厳しい状況になることが予想される。こうした現況をふまえて、中小企業庁は「コロナ借換保証制度」を創設、2023年1月10日よりスタートした。そこで今回は、新たに設けられたコロナ借換保証制度の概要を紹介するとともに、飲食店が活用する場合の注意点について解説する。

コロナ禍の資金繰りをつないだゼロゼロ融資。7月以降に返済開始の波

ゼロゼロ融資とはコロナ禍で売上が下がった企業に対し、利子補給の制度を活用して、金融機関が実質無利子・無担保の融資を行った制度。2020年に始まり、昨年(2022年)受付を終了した。この融資を受けた企業のうち、2023年に返済開始期を迎える企業が約3割を占めると言われているが、長引くコロナ禍に加え、昨今の原材料費上昇や人手不足による負担が重なり、今日までに思うような立て直しが叶わなかった事業者は少なくない。

帝国データバンクが1月13日に発表した「『コロナ融資後倒産』動向調査(2022年)」によると、2022年に発生したコロナ融資後の倒産は、2021年の2.3倍となっており、2023年はさらに増加すると推測されている。飲食店においても同様で、飲食店のコロナ融資後倒産件数は、2021年の14件から2022年は約2倍の27件に増加している。

そもそも「借換」って何? 新設されたコロナ借換保証制度の概要

こうした状況を受けて、昨年秋に新設されたのがコロナ借換保証制度。「借換」とは、ある金融機関から新たに融資を受けることで、別の金融機関から受けていた既存の借入金を返済することをいう。一般的に、より金利の低い金融機関の融資に借り換えるケースを指し、返済負担を軽くする効果があるとされる。

■保証額や期間、申請の条件など
今回新設されたコロナ借換保証は、ゼロゼロ融資からの借換需要に加え、事業の再構築に必要な新たな資金需要にも対応する制度。詳細は以下の通りだ。

・保証限度額:1億円
・保証期間:10年以内
・据置期間:5年以内
・保証料:0.2%など(補助前は0.85%)

「経営行動計画書の作成」と「金融機関による伴走支援を受けること」、さらに下記①~③のいずれかに該当することを条件に、借入時の信用保証料を大幅に引き下げる。

①セーフティネット4号または5号の認定を受けている
②売上高が5%以上減少している
③売上高総利益率/営業利益率が5%以上減少している

■経営行動計画書には、明確で現実的なプランを
経営行動計画書とは、所定の様式に沿って、事業の現状認識や財務分析、将来目標、具体的なアクションプラン、収支・返済計画などを記入していくもの。審査はこの経営行動計画書に記載する内容をもとに行われる。

作成にあたっては、金融機関がサポートするとされているが、実際はそこまで望めないことが多いのも事実。まずは事業者自らが日々の業務を振り返り、自店の財務状況などをしっかり把握する必要がある。中小企業庁が公開している記入例のサンプルも参考になるだろう。その上でなるべくわかりやすく、要点を押さえた計画書を作成したい。

中小企業庁「『コロナ借換保証』の概要について」より

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若林和哉

ライター: 若林和哉

株式会社パートナー経営企画・代表取締役。飲食店の勤務経験や中小企業診断士の資格を生かして、事業計画作成や資金調達の支援、フランチャイズ関連のWebページの執筆やセミナー講師などを務める。好きなお店は、ラーメン・カフェ・日本酒のおいしい居酒屋など。https://パートナー経営企画.com/