鳥インフルで卵が高騰、飲食店にも深刻な影響。ガスト、バーミヤンでは一部メニューを休止
鳥インフルエンザが猛威を振るい、卵の供給量が大きく減少している。それに伴い卵価格の高騰は止まらず、飲食業界にも深刻な影響が及んでいる。すかいらーくホールディングスは運営する『ガスト』『バーミヤン』『しゃぶ葉』で、鶏卵を使用する一部メニューの販売休止や、卵の提供方法の変更を発表した。『丸亀製麺』でも、鶏卵を使う一部商品の品切れを見込んでいる。
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鳥インフルエンザによる殺処分数が過去最多に。卵不足で平均価格が13%上昇
令和4年度の農林水産省の発表によると、今シーズンは25道県で76事例の鳥インフルエンザが発生し、約1,478万羽の鶏が殺処分の対象となっている(2月20日時点)。1シーズンあたりの殺処分数としては過去最多で、1,000万羽を超えるのは初めて。専門家は、感染した渡り鳥の飛来が例年より早い9月下旬に始まったことが感染爆発の背景にあると指摘する。
鳥インフルエンザの感染爆発によって起こるのが、卵の供給減とそれに伴う価格の高騰だ。1月の卵の全国平均小売価格は、過去5年間の1月の平均価格と比較して13%上昇し、一般家庭のみならず、飲食業界にも大きな打撃を与えている。
ガスト、バーミヤン、丸亀製麺、ドトール…、広がる卵価格高騰の影響
すかいらーくホールディングスは、運営する『ガスト』『バーミヤン』で鶏卵を使う一部メニューの販売を休止した。休止するメニューは、温泉卵を使うメニューやパンケーキ、天津飯などが含まれ、今後その他の商品についても休止する可能性があるとした。また、『しゃぶ葉』では無料の卵サービスを休止。当面の間、希望者に有料(1個55円)で提供するという。
『丸亀製麺』は、鶏卵を使った「とろ玉うどん」など8商品が品切れとなる見込みを発表。釜玉うどんの生卵を温泉卵へ変更できるサービスも休止とした。また、カフェ『ドトールコーヒーショップ』を展開するドトール・日レスホールディングスは、ケーキなど卵を使う商品の種類を絞ることを検討しているという。
さらに、コンビニエンスストアや食品メーカー各社でも卵を使った商品の販売の休止や、商品における卵の割合を減らすなどの対応を発表している。
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農林水産大臣も予想できなかった事態は、向こう半年続く見込み
この卵の価格高騰はいつまで続くのか。農林水産大臣は昨年末、「正月明けになると少し落ち着いてくる」と話したが、最高値の更新が続く現状に鑑み、17日に発言を修正。「先を見通す力がなかった。(ヒナの誕生から流通まで)6か月しないと卵が出てこないので、あと半年は待っていただかないとならない」と釈明した。
価格高騰には鳥インフルエンザだけでなく鶏の餌の値上がりも影響しており、こちらも下がる見込みが立っていないという。扱うメニューに卵が多く含まれる飲食店は、メニューの変更や休止、価格改定など、なんらかの決断をする必要があるだろう。