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SNSフォロワー3万人『枯朽』清藤洸希さんが作る、料理世界への新しいアプローチ

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『枯朽』の、ある日の前菜。正山小種(ラプサンスーチョン)風味のクレープに鴨のささ身を載せたコンソメ。明治期ごろの器に合わせた

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枯朽の世界に近づきたい

「集客の点でいうと、今まではSNSだけでよかったんです。でも今後のことを色々考えた時に、SNSに依存し過ぎるのはむしろ危ないなと。SNS経由で来てくれる人は、最初から『h.b.』というアカウントのファンなんですよ。僕の持つ料理へのこだわりみたいなのをずっと見てくれている人たちは、いざ料理を目の前にしたら全部が美味しく感じてしまって、料理への評価も多分甘くなる。それはとても危険だと思っています。

最近は年齢層が広がって、近所の方とか年配の方、同業の方も来られます。今後はいっそう、そのような前情報の何もない初見の方の辛辣な言葉を大事にしたいと思っています。厳しい眼にさらされないと、この店の料理が進化していかない。

今後の目標として、現実的にはより多くの人に認知されて、売上を上げることですが、最終的にやりたいことは、枯朽という世界を作ること。だからそこに向けて今頑張っているみたいなところがあります。僕自身の料理をどうこうというよりも、枯朽というイメージ、世界観に、僕の方が少しでも近づきたい。自分の料理というか“この店の料理”みたいな感覚があって、枯朽という世界の、枯朽という土地の料理……みたいな感覚がある。いつか、枯朽という土地の郷土料理ができるならば、これほど嬉しいことはないですね」

料理の世界観をシェフがゲストと共有し、育てていく。その世界観は料理を作る人の数だけ生まれうることを、清藤さんの挑戦が教えてくれる。

『枯朽』
所在地/東京都墨田区押上2-13-9
席数/8
https://ko-kyu.jp/

清藤洸希(きよふじ・こうき)
1994年、福岡県生まれ。大阪の調理師専門学校卒業後、大阪市内のフランス料理店に勤務。上京し渋谷のビストロに勤務ののち、2020年ごろから都内飲食店の休業日を借りて約2年間間借り営業を行う。2022年8月、東京都墨田区押上に、食の実験室『枯朽(こきゅう)』を開業。清藤さん個人のツイッター(h.b.名義、@fuji_no_hana1)はフォロワー3万人、同じく店舗のツイッターアカウント(@kokyu_oshiage)はフォロワー1万人。

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うずら

ライター: うずら

レストランジャーナリスト。出版社勤務のかたわらアジアやヨーロッパなど海外のレストランを訪問。ブログ「モダスパ+plus」ではそのときの報告や「ミシュラン」「ゴ・エ・ミヨ」などの解説記事を執筆。Instagram(@photo_cuisinier)では、シェフなど飲食に携わる人のポートレートを撮影している。