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オリーブオイルの価格高騰で飲食店に大きな影響も。サラダ油などで代用するポイントとは

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イタリアンをはじめさまざまな料理に幅広く使われるオリーブオイル。昨今、世界的に家庭用や業務用オリーブオイルの価格が高騰しており、飲食店にも影響が出てきている。今回は、オリーブオイルの価格が高騰している背景や今後の見通し、他の食用油で代用するポイントについて解説する。

オリーブオイルの価格が高騰している背景とは?

オリーブオイルの価格が高騰している原因は、スペインの干ばつだ。スペインはオリーブオイルの全世界生産量の約4割を占めており、その影響は大きい。スペインの2022年のオリーブオイル生産量は前年比で56%減少しており、5月下旬時点でのスペイン産のエキストラバージンオイルの価格は100キログラムあたり610ユーロ(約9.5万円)になったという。これは、前年比で2倍近くの価格で、オリーブオイルの価格としては過去最高を記録した。

主要生産国であるスペインの干ばつの状況が長引けば、今後もオリーブオイルの価格は高騰を続ける可能性もある。また、円安の影響もあり、日本の飲食店にとっては厳しい状況となっている。

オリーブオイルを他の食用油で代用するポイント

オリーブオイルの価格高騰により、入手が難しくなることもあるだろう。場合によっては、別の食用油をオリーブオイルの代わりに使う方法もある。特にオリーブオイルの風味を活かす必要がない場合は以下のポイントを踏まえれば代用を検討してもいいかもしれない。

オリーブオイルを他の食用油で代用する際のコツは、サラダ油のようなクセの少ない食用油を使うこと。物足りない場合は、ナッツやきのこ、シソなど他の食材で新たな風味を加えるのがポイントだ。また、あえて独特な風味のある食用油を使用し、その風味を活かすという方法もある。

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オリーブオイルの代用が可能な食用油の特徴とは?

では、実際にオリーブオイルの代わりに使える食用油にはどのようなものがあるだろうか。コスト面ではオリーブオイルの市場価格を上回るものもあるが、ここではあくまで「味や風味の面で代用可能な食用油」として、おすすめのものを紹介していく。ぜひ新メニュー開発のヒントとしてほしい。

まず、比較的クセの少ない食用油について、その特徴と向いている料理について紹介する。

■サラダ油
サラダ油は香りやクセがなく、どのような料理にも使いやすいのが特徴だ。オリーブオイルと同量で置き換えることができる。ドレッシングをはじめ、どのような料理にも使えるので汎用性が高い。

■菜種油
菜種油は菜種を原料とした食用油で、キャノーラ種の菜種を使ったものはキャノーラ油といわれる。JASの基準を満たせばサラダ油ともいうこともでき、味や香りなどにクセが少ない食用油だといえる。ドレッシングはもちろん、熱に強いため揚げ物にも使いやすい。

■太白ごま油
太白ごま油は、ごま油特有の香ばしい風味が少ない食用油。そのため、ドレッシングなど素材の風味を引き立てるときに使いやすい食用油だといえる。熱に強く酸化しにくいため、揚げ物にも繰り返し使うことができる。お菓子やパンにも使いやすい。

■こめ油
こめ油は米ぬかなどから作られる食用油で、風味が少なくどんな料理にも使いやすい。油切れがよいといわれており、揚げ物もカラッと揚がるのが特徴。また、酸化に強く劣化しにくいため、冷めても嫌なにおいがしない。

■グレープシードオイル
グレープシードオイルは、ぶどうの種子から作られる食用油。さっぱりとした口当たりで、くるみにも似た軽い風味もある。ドレッシングや揚げ物などにも使えて、あっさりと仕上げられるのが特徴。

続いて、独特の風味がある食用油について、その特徴と向いている料理について紹介する。

■バター
乳脂肪分から作られるバターは、オリーブオイルに比べてコクがあるのが特徴。ソテーやパスタなどに使うことが一般的だが、無塩バターでなければ塩分が入っているため、味付けには注意したい。

■ココナッツオイル
ココナッツ(ココヤシ)の実の胚乳から作られる食用油で、コクのある甘い風味を感じられるのが特徴。他の食用油と比べて酸化しにくく、熱を加える調理にも強い。独特の風味を活かした炒めものなどに向いている。

■亜麻仁油(アマニオイル)
亜麻仁油は亜麻という植物の種子からとれる食用油。ほのかな甘い風味があるのが特徴。熱処理には向いていないため、サラダやカルパッチョなどに使用するといい。酸化にも弱く、冷暗所での保管が必要。

■アボカドオイル
アボカドの果肉から作られる食用油で、ほのかなアボカドの香りとナッツのような風味が感じられる。熱と酸化に強いため、揚げ物や炒め物にも使いやすい。オリーブオイルと比べて風味は抑えられており、素材の味わいを活かした料理に適している。

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■アーモンドオイル
アーモンドの種子からとれる食用油で、アーモンドの風味がほのかに感じられる。独特の風味を活かしたドレッシングとして使うのもいいだろう。酸化にも強く、加熱調理にも適している。

■ピスタチオオイル
ピスタチオの種子を焙煎して作られる食用油。ピスタチオの風味が強く出ているため、料理のベースとして使うよりも仕上げに風味づけとして使うことが多い。カルパッチョなどにも使えるだけでなく、肉料理でも素材に負けない風味をつけられる。

このように、オリーブオイルの代用として使える食用油は数多くある。どうしてもオリーブオイルの味・香り・風味が必要なメニューは仕方ないが、代用できる場合は、このように他の食用油を使うのもおすすめ。そこから今までにない味わいのバリエーションを作り出すことができるかもしれない。オリーブオイルの価格高騰はしばらく続く見込みだが、新たなメニューを考えてみるなどして、この状況を乗り越えてほしい。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com