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空中階でも坪月商37万円を達成! 自由が丘『おゆげ』が凝らす3つの工夫

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扉を開けると広がるのは、インストゥルメンタルやジャパニーズヒップホップなどが控えめに流れる明るい空間。店内の中央に大きな蒸し器が配され、立ち上がる湯気のライトアップが印象的だ

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ゲスト目線で考え抜いた「落ち着き」と「わかりやすさ」

若過ぎず、落ち着き過ぎず。顧客ターゲットを30〜40代の「ちょうどいいゾーン」に設定したという山下さん。そのための工夫は、大人の「落ち着き」の演出、シンプルな「わかりやすさ」、省力化も狙った「機能性」という3つのキーワードに表れている。

大人のムードを狙った「落ち着き」は、主に空間デザインで演出。杉材を基調にした店内の色づかい、たっぷり取った天井高、暖色系のライティングといった要素だけでなく、冷蔵庫や冷凍庫を客席に見せないという配慮も含まれる。壁にはオススメ料理の張り紙などを一切せず、メニューへの赤丸印なども「視覚的にうるさいのを避けたい」との理由で付けない。

フードは「蒸し料理」「揚げ料理」「冷菜」「土鍋ご飯」の4パートでシンプルに構成(すべて2人前の分量)。このほかに刺身、鍋も提供

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次に、シンプルな「わかりやすさ」だ。確かに、蒸し料理と土鍋ごはんが二大料理であるというコンセプトをひと言で表した『おゆげ』という店名は伝わりやすく、記憶にも残りやすい。

メニュー表の作成で意識しているのは、パッと見て内容がイメージできない料理や読めない表記を避けること。惚れ込んで仕入れている食材「林SPF豚」には、わざわざ「ポーク」とカナを振る徹底ぶりだ。

ドリンクメニューで意識したのは、わかりやすさ。クラフトジンは何の果物が主原料なのか、焼酎はどんな風味がするのか、ひと言を添える。日本酒は7種類を用意

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「もし自分がデートで来店していたら、名前を間違えると恥ずかしいじゃないですか。『漢字が読めなくて注文できない』というお客さまをなくしたいです。名前を多少ひねったとしても『何のメニューだかわからない』ということがないようにしています」

福島・豊国酒造の純米酒「一歩己(いぶき)」をソーダ割りした「おゆげハイボール」(550円)。開業前から提供を決めていた看板ドリンクの1つ。グラスのロゴデザインは、グラフィックデザイナーである山下さんの実兄に依頼

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神吉弘邦

ライター: 神吉弘邦

経済誌『Forbes JAPAN』、デザイン誌『AXIS』、建築誌『商店建築』、カルチャー誌『BRUTUS』などに寄稿するフリーランス編集者。コロナ禍で飲食店のありがたさに気づき、料理の奥深さにも開眼。メディア取材や企業コンサルティングのかたわら、現在「あて巻き」発祥の寿司居酒屋でも修行中。実家は仕出し屋。