住宅街で坪月商25万円を売る『nope』。気鋭のシェフが勝負の地に「千歳烏山」を選んだ理由
スパイスを使いつつ、素材の持ち味を生かす料理
料理には『レカマヤジフ』での仕事を通して学んだスパイス使いが生かされている。
「私が学んできた広東料理は素材を生かしたあっさりとした味付けが特徴で、スパイスはあまり使いません。そもそも、日本の食材は繊細な味わいでそれだけでも充分においしいので、スパイスを強く効かせる必要性はないと思っています。広東料理の伝統にならって素材の個性を殺さず、生かす使い方を意識しています」
画像を見る例えば、和食の八寸のように一口量の前菜が8種類盛り付けられた「スパイス×前菜盛り合わせ」(980円)は、旬の食材一つひとつに対しその素材に合ったスパイスと調理法が施されている。
その他、メニューは前菜、点心、肉、麺飯などが30種類近くラインナップ。1品680~2,480円と手頃な価格で1〜2人でちょうどいいボリュームなので、あれもこれもと注文したくなる。煮込みのように保存が利く料理は一度に大量に仕込むことで原価率を下げる一方で、魚介は原価がかかっても新鮮で質の高いものを仕入れるなど、メニュー全体でバランスを取っているという。
画像を見るグラスワインを充実させることで客単価をアップ
“中華×スパイス×ワイン”と掲げているように、ドリンクで打ち出しているのはワイン。他のアルコールに比べてバリエーションに幅があって料理とのペアリングも提案しやすいことに加え、グラスに注ぐだけという営業中のオペレーションのメリットもある。
素材を生かした繊細な料理との相性を考え、白やオレンジワインを手厚くラインナップ。ボトルワインは3,980〜1万4,880円で6,880円のものが中心だ。料理同様30種類近くあり、ほとんどがグラスで飲めるのがうれしい。グラスワインは780〜1,880円で提供する。
「グラスワインを豊富にしてあれこれ楽しんでいただけるようにすることで、客単価のアップを狙いました」
ノンアルコールのドリンクもクラフトビールやワイン用ブドウを使ったジュースなど質の高いものを厳選。その結果、当初6,000円を想定していた客単価が、現在は1万円になっているという。