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神泉の隠れ家レストラン『Hone』。「唯一無二」と「再現性」を両立する無双の佇まい

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2F/レストランメニュー。アラカルトのほか、旬の食材を楽しめるおまかせコースも

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スタッフ全員が「経営者」目線。再現性を高めるデジタル活用

店舗や料理の開発はクリエイティビティあふれる独自性が光っているが、一方で店舗運営は再現性の追求のため、デジタルツールでの定性・定量データの管理・活用が習慣化されている。シェフもサービスも、ポジションを問わずスタッフ全員が当たり前にパソコン作業をこなすのは、飲食業界では珍しいかもしれない。

1日の終わりには、「日報」を作成しスタッフ全員で共有しているという。内容としては売上などの数字と、なぜその数字に着地したのかという推測や、当日に発生した良かった出来事、さらに再現できる施策案を提案するなど、事実に基づく深い考察を行う。

「不慣れなうちはタイピングにも時間がかかるし、考えを深ぼることも難しくて苦労しているみたいです。でもこのような言語化を通して事実を整理することで、初めて良かった状況を再現できるので、売上を上げていくためには必須事項だと思います」

日報のほかに、他の飲食店での体験を振り返る「バー・レストランレポート」も言語化能力の育成につながる。全社員が月に1度提出するレポートで、上質なサービスを受けた経験と感想を資料にまとめて共有し、スタッフ全員で共通理解を持ちながら自店のサービス向上を図っている。

「クリエイティブや美容など他業界出身のスタッフも多いので、飲食サービスに関する研修の意味を込めて毎月1〜2万円の経費を使える仕組みにしています。当店は客単価1万円前後の高価格帯なので、それに見合った所作や立ち振る舞いを含めたサービスレベルを目指していることも、この施策の目的です」

「ワインのボトルオーダーは売上アップへの影響が大きいと感じています。お客様も楽しんでくれるので、スタッフ全員でワインの勉強や提案に力を入れています」

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また、損益計算書をスタッフに公開し、誰もが店のコストと利益を把握していることも、飲食店では珍しい体制だろう。

「スタートアップの組織として、数字の透明性はとても大事にしています。スタッフにとっては原価や売上など全体の収支がわかるから、自分の給料やボーナスの金額に納得感が持てるし、さらには売上を上げるためにはどんな施策が必要か、といったビジネス思考になってきます」

こうした取り組みで、パソコン作業に不慣れだった従業員も、提案資料を作成したり、独自の管理シートを作成したりと、事業を伸ばすためのビジネススキルを身につけている。

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。