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「THINK ME」で語られた女性パティシエの現実。女性が飲食業界で長く働くには何が必要か

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スタッフを抱える経営者側の先輩パティシエたちからのアドバイスもあった

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自分ひとりで自分の分を稼ぐ方法を模索する

先輩パティシエとして自身の経験談を話した一人、さわのめぐみさんは、鎌倉で4席のレストラン『ナミ材木座』を運営するシェフ兼フードディレクターだ。現在、2週間働いて2週間休むという働き方で、営業日をSNSで告知、ゲストは抽選で決める。

「もともと、団体競技より個人競技が得意というのもあり、独立したら絶対にひとりでやろうと思っていました。月に6日間か8日間しかレストランは営業していません。結局、自分に余裕がないと美味しいものなんてできないと思っていますし、こんな働き方をしてもいいんじゃないかと思っています」

「無理した結果、身体を壊す悪循環を断ち切りたかった」というさわのさんのような「ひとりで働く」働き方の例も、SNSでゲストと直接つながれる現在では、さまざまなタイプを見るようになってきた。

また、料理や製菓に従事する人たちのすべてが「自分の才能でトップを目指して稼いで行きたい人」ばかりではないことも指摘があった。

たとえば、仕事に自分のリソースを全振りするのではなく、仕事と生活のバランスを取って生活していきたいという人もいる。その場合は、比較的スタッフの多い企業形態の店舗やホテルのペイストリー部門を就職先に選択したり、また働く環境(店舗)を変えることが問題解決の糸口になるという実例も、セッションでは紹介されていた。

働き方改革が施行され、限られた時間内でどうキャリアを積むかについても何度か話題に上がった。

何人かが話されたのは、自分はどういう働き方をしたいのかを考えること。第一線を目指したいのか、生活とのバランスを考えて働きたいのか、とにかくお菓子を作っていきたいなのかなど、ゆずれない到達点を明確にすることで、働き方が変わってくる。

「8時間働く人と、16時間働く人の技術力は圧倒的に違ってくる。どんなジャンルも、第一線で働いている人は8時間労働などと考えたりはしない」という意見もあった。

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うずら

ライター: うずら

レストランジャーナリスト。出版社勤務のかたわらアジアやヨーロッパなど海外のレストランを訪問。ブログ「モダスパ+plus」ではそのときの報告や「ミシュラン」「ゴ・エ・ミヨ」などの解説記事を執筆。Instagram(@photo_cuisinier)では、シェフなど飲食に携わる人のポートレートを撮影している。