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新店『TOTOROU 浪漫』も坪月商48万円。「小さなハレの日」ニーズの追求で連続大ヒット

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右から、アンフィニィ株式会社代表の椎名大樹氏とスタッフの福本倫大氏

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坪月商92万円を叩き出す東京・中目黒の大繁盛居酒屋『魚魚郎(ととろう)』。2023年3月にオープンした姉妹店の『TOTOROU 浪漫(ととろう ろまん)』もそれに負けない集客力を発揮し、14坪30席の規模で月商670万円を売り上げている。

2店を運営しているのはアンフィニィ株式会社。代表の椎名大樹氏に大ヒットを連発したポイントをうかがうと、「『30歳女性』の『小バレのニーズ(=ささやかな「ハレの日」の利用需要)』を徹底して追求したこと」という答えが返ってきた。その真意をうかがった。

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『魚魚郎』も、『TOTOROU 浪漫』も予約客のみで満席に

エレベーターで雑居ビルの地下1階に降りると、目の前には殺風景な通路が伸びる。初めて訪れたお客が「間違えた」と後ずさりしてしまうようなファサードだが、飾り気のない非常用扉を思い切って開くと、その先には瀟洒な居酒屋空間が広がっている。

そんな「大人の秘密酒場」という業態コンセプトを具現化した店づくりにより、2023年3月にオープンしてからグングン売上を伸ばしているのが東京・中目黒の居酒屋『TOTOROU 浪漫』だ。店舗規模は14坪30席、予約客のみで客席が連日1.8回転、月商は670万円に到達している。

飾り気のまったくない非常用扉が店の出入口。ドアノブの脇に小さく描かれた「トトロウマン」のイラストが唯一の目印だ

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この店を運営しているアンフィニィ株式会社は中目黒に居酒屋2店を展開しており、2017年9月にオープンした『魚魚郎』は強豪ひしめく中目黒エリアでもピカイチの集客パワーを誇る繁盛居酒屋である。

『魚魚郎』があるのは桜の名所としてもよく知られる目黒川近くのマンション1階。中目黒駅からのアクセスはいいものの、繁華街が広がるエリアと反対の駅東側にあるため、店前通行量は少ない。それでも平日は17時、週末は16時の営業開始時間を過ぎると、7.6坪16席の店内はすぐに予約客のみで埋め尽くされる。月商700万円、坪月商にして実に92万円という驚異の売上を叩き出している。

飾り気のないエントランスからイメージもつかないスタイリッシュな店内。コンクリート剥き出しの床と壁によって「秘密酒場」らしい雰囲気を創出している(写真提供:アンフィニィ)

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あえて非常用扉をエントランスにして秘密酒場感を演出

一方、『TOTOROU 浪漫』が店を構えているのは外食店が軒を連ねる中目黒駅の西側で、駅から徒歩2分という好立地。『魚魚郎』よりも立地に恵まれているが、特筆されるのが、もともとビル1階に備えられていた店専用の階段につながるエントランスをあえて使用していないことである。

代わりに非常用扉を出入口にし、「大人の秘密酒場」の店構えを意図してつくったわけだが、同社代表の椎名大樹氏は「これは小バレのニーズに応えるための演出」だと説明し、さらにこう続けた。

「『魚魚郎』が大成功した秘訣はターゲットイメージを『30歳の女性』と明確に定め、その『小バレのニーズ』を追求し続けてきたことにあります。その表現方法を変え、グレードアップさせたのが『TOTOROU 浪漫』なんです」

通りにつながる店専用のエントランスは封鎖。非常用扉をエントランスとして利用することを条件として物件の申し込みをした

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。