ワンオペでも坪月商30万円を売る西荻窪『晴レルヤ』。“肉×蕎麦”で他店との差別化に成功!
目指したのは客単価7,000円のワンオペ居酒屋
屋号に掲げているように『晴レルヤ』は肉と蕎麦をフードメニューの二本柱に据えた居酒屋だ。
金巻氏は独立前にホテルレストランでのシェフ経験が長く、白馬で手打ち蕎麦を提供する民宿の手伝いもしていた。また、サービススタッフとして東京都内のイタリアンレストランに勤務していたこともあり、29歳でソムリエの資格を取得したマルチプレーヤー。そうした自分の特技を活かした差別化策として考案した業態テーマが、「シャトーブリアンのステーキを食べられる想定客単価7,000円の居酒屋」だった。
「ワンオペ営業ですから、人件費はギリギリまで抑えられます。その分、原価をしっかりかけて商品のお値打ちを高めることを狙いましたが、課題はステーキだと調理の手間がかかり過ぎること。グリルだとステーキの調理につきっきりにならざるを得なくなり、ほかの料理を作れなくなってしまう。それを解決するために編み出したのが『肉を揚げる』という調理法でした。フライヤーであれば加熱時間はタイマーで管理でき、しかも加熱ムラが起こりにくい。手間がかからず、品質の安定につながる一挙両得の調理法なんです」と金巻氏は言う。
分子調理器を搭載したフライヤーで牛肉を調理
肉料理は「極上ヒレ シャトーブリアン」(24円/g)、「特撰ヒレ」(22円/g)、「A5イチボ 上」(20円/g)など黒板メニューで6品前後を常備している。
A5ランクの塊肉を仕入れて下処理をし、150~300gにカットしたものを真空パックして冷蔵保存。注文後の調理は、低温調理器で49.5℃に温めておいた湯にパックつきのまま15分浸して肉の中心部を常温に戻し、それを180℃の揚げ油で1分揚げたら、アルミホイルに包んで65℃に温めておいた低温オーブンで10分寝かせる。肉のサイズによって時間の微調節は必要だが、「このオペレーションだと肉の焼き過ぎや生焼けになることはありません」と金巻氏は説明する。
緻密な加熱温度と加熱時間の設定に加え、調理のポイントになっているのが分子調理器「Dr.Fry」の活用だ。調理機器の詳細なメカニズムの解説は割愛するが、「Dr.Fry」をフライヤーに搭載することによって食材の水分を分子レベルでコントロールできるため、揚げている最中に食材の水分が流出するのを抑えることができる。この技術を応用することで、牛肉を油で揚げているにもかかわらず、グリルで焼いたような仕上がりになるのだという。
