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ワンオペでも坪月商30万円を売る西荻窪『晴レルヤ』。“肉×蕎麦”で他店との差別化に成功!

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メニューに記載がある通り肉を食べ蕎麦で〆るのが晴レルヤ流。蕎麦はその日に使用する分だけを毎日手打ちしている

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「仕込み8割、仕上げ2割の料理」で効率化を図る

フードメニューのもうひとつの柱である蕎麦は「もりそば」(750円)など4品を用意。肉と蕎麦という一見するとミスマッチな取り合わせにした狙いを金巻氏はこう説明する。

「蕎麦は居酒屋のサブアイテムとして引きの強い商品です。『蕎麦を食べに居酒屋に行こう』といったメインアイテムとしての商品力は肉や魚介よりも劣りますが、締めのメニューに旨い蕎麦があるとつい食べたくなるのが呑み助の常。また、肉と蕎麦というユニークな組合せが差別化になり、手打ち蕎麦を用意することでメニュー全体の高品質をアピールすることにもつながると考えました」

「もりそば」(750円)はまず塩とワサビを提供。蕎麦の香りを楽しんでいただいた後でそばつゆを提供する

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その他のフードメニューは「旬菜プレート」(一人前1,580円~)とToday's特選15品前後をラインアップ。Today's特選には「新しょうがと玉ネギのかき揚げ」(750円)や「焼きいものマスカルポーネ アンチョビ添え」(750円)、「酢豚」(1,450円)など和洋中の創作メニューが揃うが、「想定していたよりも1人客の割合が高く、ハーフサイズの注文が増えて調理が追いつかなくなったしまった」(金巻氏)ことから導入されたのが旬菜プレートだ。

こちらは「谷中しょうがの豚巻」や「よだれ鶏」、「ゴルゴンゾーラのくず豆富」など14品前後の前菜の中から5品をチョイスできるカスタマイズメニュー。Today's特選はツーオーダーメニューの割合を高めて品質アップを図っていたが、旬菜プレートは「仕込み8割、仕上げ2割の料理」(金巻氏)の商品で構成。旬菜プレート、肉料理、もりそばをオーダーパターン化させることによってオペレーションの効率化を図った。

「旬菜プレート」(二人前2,380円)。料理は手前から時計回りに、「谷中しょうがの豚巻」、「揚げそばがきの生ハム巻き パルミジャーノ」、「和牛肉じゃが」、「うなぎ入りのだし巻き玉子」(+100円)、「まるでチーズのような豆富」

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体験価値にもつながるセルフサーバーの提供スタイル

アルコールメニューについては作業効率を徹底して追求した。ワインをメインアイテムに据えつつ、グラスワインと日本酒の提供にはセルフサーバーを導入。専用コインを入れるとボタンひとつで1杯分のワイン、日本酒をグラスに注げるサーバーであり、この製品は『晴レルヤ』が東京都内の初導入店となる。

アルコールメニューは品数を絞り込み、セルフサーバーを活用することでオペレーションを軽くした

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ボトルワインもお客がワインセラーを開けてチョイスするスタイルを採り入れており、クラフトビール4種もキリンビール株式会社のビアサーバー「Tap Marché」で提供。一方、ドリンクメイクする必要があるサワーの品揃えを5種に絞り込んでいる。

グラスワインと日本酒はセルフサーバーで提供。専用のコインを投入するとボタンが光り、それを押すと1杯分のワイン、日本酒が注がれる

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セルフサーバーで注ぐグラスワイン、クラフトビール、日本酒の価格は一律550円。商品提供の手間を省いている分、手頃な価格設定を採っているわけだが、「セルフサーバーの導入はただの作業の効率化ではなく、お客様の体験価値を上げることも狙いました」と金巻氏は言う。

「ビアサーバーを使ったことがないというお客様も結構いらっしゃいますが、そういう方にとってビアサーバーで注ぐという経験は失敗を含めて思い出に残ります。またボトルワインも、もちろん質問されれば好みにあったものをおすすめしますが、お客様ご自身でセラーを開けてお選びいただくことが貴重な体験になるんです」

ボトルワインは3,900~5,000円を中心価格帯として約40種を用意。ラフなスタイルでワインを味わってもらうため、グラスワインはコップで提供している

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『晴レルヤ』の店舗規模は8坪12席。「ひとりでのんびりと営業する」(金巻氏)つもりだったため、想定月商は180万円に設定していたが、コストパフォーマンスの高さからじわじわと客数を伸ばし、これまでに月商は240万円を突破した。

主客層は40~50代の地元住民で、男女比は5対5。SNS経由で若年層のお客も来店していることから、客単価は6,500円と想定よりもやや下ブレしているが、メイン客層の客単価は狙い通りの7,000円に着地している。また、来店客の7割をリピート客が占めるが、「息の長い店をつくるには理想的な比率」だと金巻氏は言う。

「オープンから4年が過ぎ、ありがたいことに満席になる日も多くなってきました。ピーク時にも無理がないワンオペ営業がようやくできるようになってきたため、いま強化しているのが接客。オープンカウンターですから、店主が慌ただしく調理に動き回っているとお客様も落ち着かないでしょう。オーダーが溜まってもゆとりを持って調理、接客ができるようにオペレーションの効率性を重ねています」

さらに「コースの導入も検討中」だと語る金巻氏。進化し続ける『晴レルヤ』のメニューに今後も注目していきたい。

『肉と蕎麦の店 晴レルヤ』
住所/東京都杉並区松庵3-38-20
電話番号/03-5941-8383
営業時間/17:30~L.O.22:30(金曜・土曜17:00~L.O.22:30)
定休日/日曜
坪数・席数/8坪・12席
https://www.instagram.com/nishiogikubo_hareruya/

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。