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「中華+もんじゃ」で坪月商83万円の恵比寿『酒場けいじ』。売上25%UPした原点回帰な戦略

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名物メニューの中華テイストの創作もんじゃは5品をラインアップ。写真は「北京 麻辣青葱牛すじ煮込み」(1人前1,140円)(写真提供:だるまてんぐ)

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独自解釈した中華酒場によって「新しい老舗居酒屋」をつくり上げたい

『酒場けいじ』の名物メニューは1人前1,140円の一律価格で4品を揃える中華テイストの創作もんじゃだ。

具材に牛すじの煮込みを用い、そこにピリ辛の麻辣ダレを合わせた「北京 麻辣青葱牛すじ煮込み」や麻婆豆腐ともんじゃ焼きをドッキングした「四川 痺辛麻婆豆腐」、もんじゃ焼きを餡掛けに見立てた「海鮮塩大蒜青菜おこげ」など、独創性に富んだもんじゃ焼きがメニューに並んでいる。

炭火焼きにしたハラミを細切りにし、ピーマン、キクラゲの餡をかけた「牛ハラミ青椒肉絲」(1,850円)

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その他のメニューも個性的な商品が揃う。よだれ鶏をアレンジした「あのよだれラム」(990円)、海老春巻きにチリソースを添え、口に含むとエビチリの味わいになる「エビチリの春巻」(800円)など、その他の中華料理もオリジナル性が高く、定番系を含めて中華メニュー45品をラインアップ。そこに「上牛タン焼」(1,350円)、「生ラムクミン焼」(1,050円)といった炉端肉焼などを加え、フードメニューは15カテゴリーで計74品を揃えている。

写真左から、「あのよだれラム」(990円)、「エビチリの春巻き」(960円)

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統括マネージャーの福永巧氏はメニューコンセプトについて次のように説明する。

「僕らが目指しているのは『新しい老舗居酒屋』を作り出すことです。既存の中華酒場のメニューを上書きするのではなく、自分たちなりに中華酒場を解釈してそれをメニュー開発に活かす。奇をてらうのではなく、新しい中華酒場のスタンダードを構築することにより、10年、20年と続いていく店を作りたいと考えています」

もんじゃメニュー5品に並び、鍋メニュー3品1,600円~をフードのメインアイテムとして用意。鍋メニューのいち押しは「雲南省 ココナッツ火鍋」(1人前1,700円)

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中華酒場への転向はリニューアルではなく、原点回帰

リニューアルによってフードメニューの9割を刷新したが、福永氏は「これはリニューアルと言うよりも原点回帰なんです」と説明する。

「当社は東京都内に外食10店を展開することを事業目標としています。立地は駅前繁華街、物件は10坪前後の路面店が選定の基本条件。やりたい業態は焼とん店、焼鳥店、焼肉店、海鮮居酒屋、中華酒場、タイ酒場、ビストロ、ピッツェリア、大衆酒場、カフェの10業態で、物件ありきで業態をチョイスしますが、『炉端肉焼けいじ』はもともと中華酒場を業態の下地にしていました」

中華のつまみメニューは680~890円を中心価格帯として33品。創作料理が中心で、「蒸し鶏バンバンジー」(680円)などの中華の定番前菜は4品にとどまる

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ここ数年でネオスタイルを含めて中華酒場はトレンド業態として注目を集めているが、『炉端肉焼けいじ』をオープンした2018年10月当時は町中華ブームの真っ只中。「中華料理を前面に打ち出すと酒場としてアピールしにくくなる」(福永氏)という考えから、炉端焼きの肉料理をメインアイテム、中華料理をサブアイテムとしたフードメニューでスタートした。

2023年3月にオープンした『酒と焼肉ニュートミー』ではすでにメニュー改廃の回数が40を超える。高頻度でトライ&エラーを繰り返すのが、同社のメニュー戦略の基本方針だ。『炉端肉焼けいじ』でもメニュー改廃を重ねながら独自の中華酒場メニューを組み立てていったが、想定外の事態が起こる。コロナ禍の発生である。

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。