「中華+もんじゃ」で坪月商83万円の恵比寿『酒場けいじ』。売上25%UPした原点回帰な戦略
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コロナ禍対策のために売れ筋を集めた間口の広いメニューを投入
コロナ禍によって居酒屋マーケットは激変した。『炉端肉焼けいじ』も開店休業状態を余儀なくされたが、雇用を確保するためにメニューの大幅刷新に着手する。
2021年4月には「鍋」、「やきとり」、「ホルモン」、「炉端焼き」、「肉汁餃子」、「玉子焼」、「ポテサラ」など15カテゴリーで計75品を揃えたフードメニューを投入。「居酒屋を利用されるお客さまの絶対数が激減したため、大衆酒場の売れ筋を集めて業態の間口を広げた」(福永氏)わけだが、それによって窮地を乗り越えることができた。
売れ筋揃いのメニューは好評で、前述したようにリニューアル前も12坪31席の規模で月商800万円を売り上げていた。それでもメニューを刷新した理由を福永氏は次のように説明する。
「あのメニューは僕らにとってはあくまで一時凌ぎのもの。『炉端肉焼けいじ』らしさを封印したメニューであり、面白みがなかったため、外食マーケットが回復してきたタイミングで本来やりたかったことにチャレンジしました」
なお、外食のビジネストレンドとしてもんじゃ焼きの注目度が高まっているが、「中華+もんじゃ」をフードのメインアイテムにしたのは、そうした時流を意識したわけではないと福永氏は言う。
「もんじゃ焼きは当社の得意メニューなんです。『タイ屋台 ラオラオ』で創作もんじゃを初導入しましたが、もんじゃ焼きはどんな味付けにもアレンジが効き、酒の肴にぴったり。鍋料理と同じようにもんじゃ焼きの鉄板を囲めば酒席が盛りあがるため、既存6店のうち4店でもんじゃ焼きをメインアイテムにしています」
アルコールメニュー46種のうち、「うちのサワー」のみで20種
アルコールメニューは「うちのサワー」「ハイボール」「紹興酒界のドンペリ」など7カテゴリー計46種をラインアップしており、新メニューは16種、リニューアル前との共通のメニューは30種。「あの生レモンサワー」(630円)や「紹興酒生レモンサワー(紹興酒)」(630円)、レモンサワー9種をはじめ、「うちのサワー」のみで20種を用意している。
「当初からサワーをアルコールメニューのメインにしていましたが、リニューアル時にそれをより強調する形でメニューを組み替えました、中華料理に合うサワーとして、サワーの新メニュー10種を投入する一方、焼酎、日本酒の品数を絞り、マッコリをメニューから外しました」(福永氏)
リニューアルによって客単価は3,800円から4,000円にアップ。13時に営業をスタートして昼飲みニーズを吸引し、深夜営業によって2軒目利用にも対応することで、アルコール売上げ構成比率は60%を確保している。
「フードメニューはまだまだ発展途上」と福永氏が語るようにトライ&エラーを重ねている段階。10月には新メニューを投入するが、「そこでは中華の定番料理をもう少し増やす予定」だという。
独自スタイルの中華酒場で「新しい老舗居酒屋」をどう作り上げていくのか。その進化が楽しみだ。
『酒場けいじ』
住所/東京都渋谷区恵比寿南1-8-11 タオスビル1~3F
電話番号/03-6712-2990
営業時間/13:00~翌4:00(日曜~翌3:00)
定休日/無休
坪数・席数/12坪・31席
https://www.instagram.com/sakaba.keiji/
