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飲食店経営者も知っておきたい賃金のデジタル払い。「導入予定がない」が88.8%

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画像素材:PIXTA

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2024年9月、賃金のデジタル払いができる事業者として厚生労働省から指定を受けた決済サービス「PayPay」を利用して、ソフトバンクグループ各社が国内で初めて賃金をデジタル払いで支払った。今回は、帝国データバンクによる、賃金のデジタル払いへの対応についてのアンケートの結果を紹介する。

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ソフトバンクグループ各社が国内で初めて賃金をPayPayで支払い

2023年4月から、銀行口座などへの振り込み以外に、資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)が解禁された。ただし、どの資金移動業者のサービスでも可能なわけではなく、厚生労働省から指定された資金移動業者のみが対象だ。

賃金を支払う事業者側でも労使協定を締結する必要があり、賃金のデジタル払いを希望した労働者のみにデジタル払いで支払うこととされている。そのため、事業者は希望しない労働者に賃金のデジタル払いを強制することはできない。

2024年8月には、決済サービス「PayPay」が厚生労働省から指定を受け、ソフトバンクグループ各社が9月に国内で初めて賃金をデジタル払いで支払った。

賃金のデジタル払いには多くの企業が消極的

帝国データバンクでは、企業での賃金のデジタル払いへの対応についてアンケートを実施。2024年10月4日~10日の期間、1,479社を対象にアンケート調査を行ったところ、賃金のデジタル払いについて「導入予定はない」という回答が88.8%と圧倒的多数となった。「導入に前向き」は3.9%で、多くの企業が消極的だと分かる。

引用:帝国データバンク

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導入に前向きな企業にその理由を訊ねたところ、最も多かったのは「振込手数料の削減」で53.8%だった。続いて、「従業員の満足度向上」が42.3%、「事務手続きの削減」が32.7%となっている。ただし、「賃金のデジタル払いができたら支払いが楽になる」といったような意見が見られる一方で、「制度やサービスへの理解が不十分なので知りたい」という声もあがっている。

引用:帝国データバンク

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導入予定はないと回答した企業の理由としては、「業務負担の増加」が61.8%で最多。「振り込み処理が複雑になる」「デジタル払いと口座振込の二重運用」「労使協定の改定」など、業務負担が増えることが導入をためらう理由となっている企業が多い。

さらに、「制度やサービスに対する理解が十分でない」が45.0%と続き、「デジタルマネーで支給したものを現金化できるか」といった前向きな企業と同様の声も見られる。「セキュリティ上のリスクを懸念」という回答も43.3%と多く、「社会への浸透具合、社員からの要望、セキュリティ対策など多面的な検討が必要なため、現時点での導入については時期尚早との認識」という回答も見られた。

引用:帝国データバンク

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アンケート結果からは、賃金のデジタル払いの導入について消極的な企業が大多数を占めており、デジタル払いに対しての理解が不十分である現状が見えてくる。ただし、今後セキュリティリスクや理解不足の不安が解消されてくると、導入する企業が増えてくるかもしれない。飲食店でも従業員から要望があがる可能性はあるため、デジタル払いの動向についても普段から意識しておくといいだろう。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com