経費精算など面倒なバックヤード業務をテック化。『ゴーゴーカレー』に学ぶ、飲食店の業務効率化
人手不足や経費の高騰が深刻化する飲食業界において、あらゆる業態で業務の効率化が喫緊の課題となっている。個人店はもちろん、店舗数や企業規模が大きくなればなるほど改善による効果が期待できるが、自店の業態や規模に対してどんな方法が適切か分からない…という飲食店も多いのではないだろうか。
金沢カレー発祥の地である石川県に本社を置き、「金沢カレー」の名を世に知らしめた『ゴーゴーカレー』は近年、テック企業へと舵を切りDXを推進している。インドネシアへの出店を加速させるなどグローバルな拡大戦略にも注目が集まる『ゴーゴーカレー』だが、こうした成長過程の裏ではどのようなシステム整備が行われてきたのだろう。本記事では同社がこれまでに抱えていた業務上の3つの課題と、効率化のための取り組みについて取材した。
各店の売上データ集計に難儀。全オーダーシステムを一新
2004年、新宿に1号店を出店した『ゴーゴーカレー』は現在、国内外に約100店舗を展開している。2023年1月には本社を東京・有楽町から金沢に移転。同年3月、創業者の宮森宏和氏に代わって、大手IT企業出身の西畑誠氏が代表取締役社長に就任し、次世代のフードテック企業としての歩みを進めている。
さまざまな業務改善策を行う中で、近年最も大きな成果を上げたのが、3年ほど前に着手したオーダーシステムの一元化だ。営業本部の吉村龍祐氏によると、従来は各店舗に設置された押しボタン式の券売機で食券を販売していたが、店舗によって機種が異なるため、本部の売上管理システムと連携を図りにくいのが課題だったという。
「各店舗の券売機から吸い上げた売上情報にも細かいズレなどが出てしまい、データとして蓄積・活用することが難しかったんです。そこでまずは自動つり銭機を搭載した最新のタッチパネル式券売機を各店に導入しました。これらとクラウド型統合管理システムを連携させ、各店の売上を一元管理できるようにしたのです。現在は、1か月分の売上データから 1時間当たりの客数を予測し、人材配置の改善にも活用しています」(吉村氏)
マネージャーなどの管理職では、券売機の機種を問わずスムーズに締め作業ができるようになり、店長らは、毎日券売機の金銭を手作業で計上する必要がなくなった。閉店作業だけで毎日約30分の時間短縮が実現し、年間にすると1店舗あたり20~30万のコスト削減に繋がっているという。店長職を経験してきた中村氏も、
「有人レジはある程度の知識や危機管理の教育も必要になる上に、営業中は経験のあるスタッフを配置しなくてはなりません。オーダーシステムならその人員を削減できる上に、新人スタッフへの指導もしやすい。現金の受け渡しミスや売上の誤差もなくなりました」
と現場での業務負担軽減に手応えを感じている。
採用や育成フローにもデジタルツールを活用。時間コストと人件費を削減
貴重な人材の管理においても、課題を抱える企業は多い。『ゴーゴーカレー』では以前、アルバイトが入社手続きを行う際のフローとして、まず紙の書面を作成し、それを郵送してもらうという手順を踏んでいたが、やはり大量の書面管理は手間がかかる上、煩雑になりがち。そこで近年は業務アプリを作成できるクラウドサービスを活用し、必要事項はスマートフォンから入力してもらう流れに変更した。その結果、店長やエリアマネージャーの管理負担を大幅に削減できたという。
また採用後の教育についてはeラーニングを活用。各自のスマホからの動画視聴と、マニュアルなどの紙媒体を併用しているが、いずれはデジタルに一元化する意向だ。
2024年内にはシフト管理についても、店ごとの表計算ソフトデータからアプリで一元管理する取り組みがスタートする見込み。「これまでは、各店舗から提出されたシフト表と実際の勤務時間に差異がないか不明瞭な部分もあった」と話す吉村氏だが、今後はアプリを導入し、タイムカードの打刻照合なども含めてさらに管理体制を整える予定だという。
疲弊していた毎月の経理業務を「マネーフォワード ビジネスカード」が解決
3つ目の課題は経理業務の負担だ。店舗においては、会議費や電化製品の購入など、何かと出費が発生する。特に新店立ち上げの時期などはその費用もかさむが、こうした経費精算にも非効率な面があったという。ゴーゴーカレー神田店の元店長でもある営業企画部の中村翔吾氏は、かつての課題について以下のように振り返る。
「レシートに記載された経費をその都度パソコンで手入力するのはやはり大変でした。月末はそれを印刷し、レターパックで本部に送って…という大量の作業に追われていましたね」
同社の経理業務を担う粟澤公善氏いわく、さらに以前は「各店に小口現金を置いていたこともあった」そうだが、無駄遣いや管理面のリスクがある上に、使用経費の申請においても本部に現金を持参し、レシートと照合して…といった非効率なアナログ作業が発生していたという。
こうした負担を解消したのが、今年3月に新たに導入した会計ソフト「マネーフォワード クラウド」と、連携する法人カード「マネーフォワード ビジネスカード」だ。「マネーフォワード ビジネスカード」による支払い情報は「マネーフォワード クラウド」にリアルタイムで反映されるため、月次決算の早期化を実現可能。キャッシュフローが可視化されることでガバナンスの強化にもつながる。
「以前から法人カードは使っていましたが、先の課題から会計ソフトと連携できる方が便利だと考えていたため、システムの変更に伴い切り替えました」と説明するのは、同社の経理業務を担う粟澤公善氏。
「本部側でも月末に他の書類と一緒に紙の領収書を提出してもらって承認、という作業がなくなったので、現場の社員の労力や交通費も削減できています。経理担当としては、体感的に以前の8割程度の仕事量になったと感じています」(粟澤氏)
月末は申請作業に追われていたという中村氏も「現在は通勤中の車中などでスマホから作業できるようになりました。現場としては事務作業にあまり時間を使いたくないので非常に助かっています」と、そのメリットについて説明する。
■月の利用上限なし、高いポイント還元率にも注目
複数枚の発行が可能な「マネーフォワード ビジネスカード」は、多店舗展開する飲食店企業にとって非常に使い勝手がいい。初期費用・年会費は無料(※1)、最大10億円の与信限度額に加えて、チャージ用口座に入金することで上限なく利用できる。その上でカードごとに上限金額の設定や利用のON/OFFが可能なため、万が一不正使用や紛失があった場合のリスクヘッジも可能だ。
また最大3%の高いポイント還元率(※2)も特長のひとつ。『ゴーゴーカレー』では、貯まったポイントは利用料金の決済に充てられるという。粟澤氏も「コスト削減につながるため、企業としても非常にありがたいです」と話す。
飲食店DXを促進させるには、現場の理解が不可欠
飲食テック企業として、最先端のデジタル技術を導入している『ゴーゴーカレー』。一方で、なぜ同社はこうもスムーズな運用を実現できたのだろうか。中村氏に尋ねると、以下の答えが返ってきた。
「新しいシステムを導入する際は、上長や管理職の社員が現場スタッフと対面して直接指導するほか、リモートでの説明会を定期的に開催しています。テック化したものを一番使うのは、現場のアルバイトさんです。外国籍の方やデジタルの知識がない人も多い中で、いかに分かりやすく伝え、誰でも利用できるような仕組みを整えていくかが今後ますます重要になると思います」(中村氏)
店の規模感や業態による差異はあれど、デジタル技術を活用した業務効率化や改革は、今後の飲食業界にとって避けられない課題だ。とりわけ飲食店の経費の大半を占める食材費と人件費の部分での改善は、数パーセント削減するだけでも経営にとって大きな効果が期待できる。また、事務作業の店舗負担を軽減することで、現場スタッフは接客サービスなど飲食店本来の業務に専念できるようになるだろう。
まずは現場との密な連携を図りながら自店の優先課題を見定め、業務効率化に役立つサービスを検討してみてはいかがだろうか。
※1 2年目以降、直前の1年間で1度も支払い実績がない場合は年会費が発生します。
※2 ポイント通常1%還元。マネーフォワード クラウド関連サービスは3%還元。ボーナスポイントの詳細についてはこちらをご確認ください。
■「マネーフォワード ビジネスカード」のサービス概要、お申し込みはこちらから
[提供] 株式会社マネーフォワード
