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2024年外食トレンド「中華×○○」など7業態をふり返る。2025年の飲食業界動向も予測

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画像素材:PIXTA

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2024年、飲食業界においては、円安や物価高、米不足、人手不足や人件費高騰など経営者の頭を悩ます事象が続いた。一方でインバウンドの急増やショート動画によるSNSの影響力の高まりなどによって、お客のニーズをつかみ売上を伸ばした飲食店も少なくない。

そこで飲食店ドットコムジャーナルでは2024年に取材した繁盛店のトレンドを、記事本数や閲覧数などを参考に分析。2024年に繁盛していた業態や、注目の出店エリアを振り返り、2025年のトレンドを予測してみた。

『ダイカンヤマパンダ』のあみや小エビを使った発酵調味料で味つけした「鶏もものシャージャン唐揚げ」(1,000円)

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【2024年トレンド業態1】“ワイン”や“立ち飲み”との掛け合わせがヒット! 「中華×○○」

今年、飲食店ドットコムジャーナルが取材したお店で多かったのが「中華×○○」という業態。特によく見られたのが「中華×ワイン」という組み合わせだ。楽出身の永澤淳氏が手掛ける明大前の『ハイチャイナセカンド』や、ザ・ペニンシュラ東京の広東料理の店『ヘイフンテラス』や祐天寺『レカマヤジフ』で経験を積んだ高木祐輔シェフによる千歳烏山の『nope』、ナチュラルワインのセレクトに定評がある代官山の『ダイカンヤマパンダ』などが人気を博していた。中国料理だけでなく、東南アジアのエッセンスを加えたスパイス使いが光る料理も印象的だ。

モルタルと木目を基調にした温かみのある雰囲気で、誰でも足を運びやすくデザインした『立吞み中華 起率礼』

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自由が丘『立吞み中華 起率礼』や、西荻窪『スタンドキッチン ルポン』など、「中華×立ち飲み」のお店も2024年は目立った。『立吞み中華 起率礼』は、学芸大学『立呑み 鉄砲玉』を手掛ける正木勇貴氏と『ザ・リッツ・カールトン大阪』の中国料理『香桃』や『ウェスティンホテル東京』の広東料理『龍天門』などで腕を振るった井上史子氏が手を取り合ったことで、超人気店に。『スタンドキッチン ルポン』は4.5坪の狭小立ち飲み店から17坪の“本格中華ビストロスタンド”へと舵を切り、月商520万円を売り上げるほど成功した。

敷地面積はわずか4坪。1階はカウンター5席、2、3階はそれぞれのフロアに12席の長テーブル1卓を設置している『酒場けいじ』

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中華へと業態変更したもう一つの成功例に、恵比寿『酒場けいじ』がある。『炉端肉焼けいじ』がもんじゃ焼きを名物メニューに掲げた中華酒場へと変貌し、坪月商83万円へと売上を25%もアップさせた。

『オルソー 日本橋小伝馬町店』では「マーガオ水餃子」720円と樽だしクラフトビールの「HONEY LAGER 台湾SUNMAI」ハーフパイント660円が人気

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2024年4月にオープンした『オルソー 日本橋小伝馬町店』は、白山『オルソー』の姉妹店で中華(台湾料理)×クラフトビールで人気を博している。

【2024年トレンド業態2】遊び心あふれるスタイリッシュな「進化系立ち飲み」

先述した中華のカテゴリでも「立ち飲み」が台頭してきたことを紹介したが、立ち飲み業態がさまざまな料理ジャンルに波及している。

池尻大橋『LOBBY(ロビー)』、代々木公園『nephew(ネフュー)』を手掛けるand Supplyが神泉に開いた『Hone』は、その代表格だろう。デザイン会社ならではのセンスに加え、これまでの飲食店経営の実績とノウハウをもとに築古物件を改装し、1階は立ち飲みバー、2階はレストランとして営業している。

左官職人が仕立てた外壁が、風情ある神楽坂の街並みにも合う(写真提供:ORI)

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神楽坂『ORI』も築70年の古民家を改装した趣のある空間が魅力だ。神楽坂の人気モダンスパニッシュレストラン『エスタシオン』の姉妹店であり、豊富なナチュラルワインとオーナーシェフの野堀貴則氏が丁寧に作り上げた料理で、従来の立ち飲みのイメージを覆し連日満席のにぎわいだ。

すべてのお客の顔が見えるカウンターがメインの『日常酒飯人』

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永福町『日常酒飯人』は、昔ながらの赤ちょうちん文化を、ナチュラルワインとレストラン仕込みの創作イタリアンでリデザインしたワインスタンド。日本酒の“もっきり”のように注いだコップ酒など遊び心あふれるプレゼンテーションで、坪月商30万円を達成している。

左:弟・砂田康太氏、右:兄・砂田健太氏が手掛ける『大人気』

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渋谷の繁盛店『大人気(オトナゲ)』の砂田健太氏・康太氏兄弟が手掛ける渋谷の立ち飲み『嚔(アチュー)』は、「住所非公開・固定電話なし・看板なし」でありながら坪月商75万円を売る繁盛店。予約必須で単価4,000円を超える渋谷のビジネス街に、大阪の立ち飲み酒場の活気と気軽さを持ち込み、成功を収めている。

今年発表されたホットペッパーグルメ外食総研の調査によれば「立ち飲み店に行くことに抵抗はありますか?」という質問に、全体の半数以上となる51.4%が「ない」と回答しており、立ち飲みに対する抵抗感が薄れていることが分かる。

お店のスタッフとお客の距離が近いほか、一人でも入りやすい気軽さ、着席よりも値ごろな価格設定によるコストパフォーマンスの高さが、今の時代にマッチし、さまざまな料理ジャンルに広がったと見られる。

【2024年トレンド業態3】続「ネオ大衆酒場」ブーム

古き良き大衆酒場の趣を再現しつつも、現代的な要素を取り入れたネオ大衆酒場も引き続き盛況だが、よりアプローチが多角化してきている。

囲炉裏風のテーブル席。椅子はさまざまなデザインのものが配されている『ツキニカリ』

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渋谷『ツキニカリ』は囲炉裏を囲む席、掘りごたつなどレトロさを感じさせる一方で、コンクリート打ちっぱなしの壁、モダンなラウンジ風のソファ席、1990〜2000年代のポスターや雑誌が飾られたトイレなど、昭和と平成が入り混じった遊び心のある内装が特徴的。

『Nakame Sakaba 阿弥頭』ではテーブルでゲスト自身が茶を点て、碗から注ぎ入れて完成させる「抹茶ミルク」(770円)が人気(写真提供:大合)

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北関東で惣菜店を展開する株式会社大合が手掛ける中目黒『Nakame Sakaba 阿弥頭(AMUSE/アミューズ)』は、飲まない若者向けの「愛されドリンク」やボリュームを抑えたガッツリ系の料理が若い女性の心を掴んでいる。

三軒茶屋から徒歩6分。茶沢通りに面した前面ガラス張りの店舗。紫色の暖簾と、ピンクのネオンが異彩を放つ『大衆酒場 ネオトーキョー』(写真提供:株式会社SLICK)

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ストリートカルチャー、音楽、ファッションに、大衆酒場をMIXした店づくりで感度の高い若者の集客に成功しているのが、三軒茶屋『大衆酒場 ネオトーキョー』。11坪24席で月商550万円を売り上げている。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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