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10坪月商300万円の参宮橋ワンオペ“ピザ屋”『SAM』。自由と売上を両立する裏側

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参宮橋『SAM wood fired』オーナー・後藤崇暁氏

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2024年5月、渋谷区の参宮橋にオープンしたワンオペの薪窯ピッツェリア『SAM wood fired(サム・ウッド・ファイアード)』。生地は手ごね、仕込みから営業まですべてを一人でこなしながら毎月300万円を売り上げる繁盛店だ。ワンオペピッツェリアへの挑戦に至った経緯や経営の工夫、その醍醐味について、オーナーの後藤崇暁氏に伺った。

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店主の「好き」を詰め込んだ、薪窯ピッツェリア

料理、お酒、空間、サービス⋯⋯、飲食店を構成する全ての要素において店主のパーソナルな一面が現れる“ワンオペ”の店。目の前に立つ店主の所作や言動がリアルに感じ取れるコンパクトな規模感や、そこから生まれる親近感に多くの食通たちが魅了され、そのムーヴメントは留まることを知らない。ワンオペの流れは今、手ごね生地の薪窯ピッツェリアにまで広がっている。

「小学校の卒業文集で『好きな食べ物はピザ』と書くくらい、子どものころからピザが好きでした」

2024年5月、参宮橋にオープンしたピッツェリア『SAM wood fired』のオーナー・後藤氏は、赤々と燃える薪窯を前にそう語る。

薪窯を囲むようにカウンター席が設けられている

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現在、店に立つのは後藤氏一人。名店『サヴォイ』にルーツを持つ自家製生地のピッツァをメインに、すべての料理を店の中央にある薪窯で調理し、仕込みから片付けまでを一人でこなしながら10坪で月商300万円を上げるというから驚きだ。ここで後藤氏は、自分のお気に入りの楽曲をレコードで流しながら、自慢のピザと共にナチュラルワインやクラフトビールを提供している。

ワンオペの一番のメリットは、100%伝えたいように伝えられること

長く音楽に打ち込んでいた後藤氏が、ふと「自分が好きなものを作れるようになりたい」と一念発起し、三鷹のピッツェリア『武蔵野カンプス』の門を叩いたのは30歳を迎える頃だったという。最初の6年はスタッフとして、のちの6年は店長として従事。70席ほどある大型店だったため、調理や接客だけでなく、採用、人材教育など幅広い運営業務を担っていたそうだが、次第に「自分の好きなものだけを、自分の思うように表現できる“自分の城”をつくりたい」との思いを強くしていった。

窯は日本橋の老舗『山宮かまど工業所』製

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「声がけ一つをとっても、誰かを介すと自分が届けたい・表現したいことがどうしても100%で伝わりません。店のブランドイメージやオペレーションを考えて、メニューやサービスを調整しなきゃいけないこともある。そんな歯がゆさを解決するには結局、全部自分一人でできる店でないと難しいと思うようになりました」

独立の際の選択肢は、ワンオペ一択。前店で店に立つ間も常に「一人でやるなら」という目線でイメージトレーニングを重ね、課題を見つけては対策を考えながら、一人で切り盛りするリズムを身体に叩き込んできた。

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山本愛理

ライター: 山本愛理

フリーライター・エディター。WEBを中心に食にまつわる記事を執筆。 昔ながらの喫茶店から星付きレストランまで、美味しいものを通して幸せな時間を提供してくれる人の声と熱を届けるのが好き。空いた時間はもっぱらカフェ巡り。