西荻で人気沸騰の立ち飲み×中華ビストロ『ルポン』が恵比寿に! 突破口は“街の共通点”
恵比寿への出店は、将来を見据えたブランディング戦略の一端
西荻で確かなコミュニティをつくり上げてきた『ルポン』が、かねてより恵比寿への出店に意欲を見せてきた理由はいくつかあると話す。
一つは、これほど飲食店が豊富な恵比寿においてもまだ、本格中華とワインをカジュアルに楽しめる店がないこと。前回、鈴木氏が話していた「町中華と高級中華の二極化」は、確かにここ恵比寿でも見られたという。ましてや恵比寿は、食に敏感な人々が集まる街だ。おいしい料理や酒を新しいスタイルで楽しめる店となれば、受け入れられないはずがないと睨んだ。
二つめに、恵比寿にも西荻に似たローカルな酒場コミュニティがあることを挙げた。特に『ルポン 恵比寿』がある駅西側の駒沢通りの裏手は、きらびやかな恵比寿のイメージとは一線を画す親しみやすいバーや居酒屋が多いエリア。「飲食店を中心とした街づくり」をビジョンに掲げる『ルポン』だからこそ、今度は野口氏が長く暮らしてきたこの街で、街に根ざした飲食店のコミュニティづくりに挑みたいと意気込む。
そしてもう一つ、「恵比寿」というブランド力に二人は大きな期待を寄せている。
「ここで勝ち抜くことが容易ではないのはわかっています。でもだからこそ、恵比寿で実績を残せれば可能性は一気に広がる。都内での店舗拡大、地方進出のほか、食材の生産者さんからの信頼、魅力的な人材も自然と集まるでしょう」(野口氏)
「『本格中華×立ち飲み×ワイン』という恵比寿にもまだないジャンルだから、可能性は十分にあると思っています」(鈴木氏)
立ち飲み特化型で成功事例をつくる
一方で、西荻の『スタンドキッチン ルポン』から大きく舵を切った点が、完全なスタンディングにしたことだ。立ち飲み席の他にカウンター席や20近いテーブル席がある西荻店と比較すると、恵比寿店は立ち飲み特化型と言っていいだろう。しかしその背景にも二人なりのロジックが。
「立ち飲みは、スタッフにより豊かな還元が見込めるシステム」と、野口氏。来店客数や売上が同じ場合、対応する従業員数もハコもミニマムにできるのが立ち飲みの大きな利点であり、少人数・小規模で売上を立てることができればその分、従業員一人ひとりへの配当が増えるからだという。
さらに鈴木氏も「あえて別の形態を取ることで、お客さまの選択肢はもちろん従業員の働き方の幅が広がる」と続ける。
「僕らは『スタンドキッチン ルポン』を土台としながら、この恵比寿店を皮切りに同様の店舗を広く展開していきたいという次のフェーズを見据えています。一言で飲食業といっても働き手にも多様なニーズがあって、厨房メインを望む人もいれば、テーブルサービスが好きな人、身近な接客がしたい人などさまざま。そのためには、それらをできるだけ受け入れられる体制を整えたい。西荻店と恵比寿店を、今後の『ルポン』の2本柱にしたいと考えているんです」(鈴木氏)
