平日も常に女性で満席の人形町『パーラー305』。「新規客でにぎわう店」を叶えた方針転換とは
歴史情緒あふれる人形町で、ナチュラルワインや、ワインが進む料理を揃える『パーラー305』。お酒を飲めない&飲まない若い世代が増えている中、20~30代の女性から圧倒的な支持を得ているという。「店を通して笑顔を増やしたい」と語る店主の久保ゆかり氏に、店づくりの工夫について話を聞いた。
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学生時代から、自分の店を持つことを夢見ていた
人形町駅から徒歩で3分、「婦人・紳士靴 コマバ」のレトロな看板がひと際目を引く『パーラー305』。店内は吹き抜けになっており、1階はカウンター席、螺旋階段を上った2階はテーブル席が設えられている。
学生時代、大手コーヒーチェーン店でアルバイトをしていた頃から、自分の店を持つのが夢だったという店主・久保氏。新卒で飲食店へ就職するも、「料理を学びたい」と半年で退職し、辻調理師専門学校へ入学。卒業後、『オザミトーキョー』や『ガール・ド・リヨン』などを経て2013年に独立を果たした。
“ワンオペ”を想定していたため、当初は2階建ての物件を借りることは考えていなかったが、「内見した時にビビッときた」ことから現在の物件に決めたという。
「ひとりでもやりやすいように仕組みを作ればなんとかなるだろう、と。吹き抜けにすれば、上から声もかけやすいし、なんとなく耳を澄ませていれば、音でお皿が空になったなということがわかります」
「常連客でいっぱいの店」から「わざわざ行きたくなる店」へシフトチェンジ
久保氏が掲げるコンセプトは、“足元からの平和づくり”。フランスのワインバーをイメージしたという店内は、カジュアルで明るい雰囲気だ。なるほど、若い世代から支持されるのも納得がいくが、オープン当初と現在とでは、客層がかなり変わっているのだとか。
「世界平和のために何かしたいと思っても、直接何か行動をすることは難しい。自分にできることがあるとすれば、食を通して“笑顔を増やす”ことかなと思ったんですね。友達と『今日、一緒にあのお店に行こうよ』と予定を立てている時間がもう楽しかったり、思い出すたびに『おいしかったな、楽しかったな』と幸せになれたり。そんな、日常の中で笑顔になれる時間が増えるような場所を作りたいと思いました」
当初は“おひとり様”が主なターゲットであり、お客同士のコミュニケーションが生まれるように工夫を凝らした時期もあったが、オープンから3年が経ち、常連客が増えるにつれて違和感を覚えるようになったという。
「良くも悪くも遠慮がなくなり、新規のお客様が入りにくい雰囲気になってしまって……。ある時、常連のお客様同士がトラブルを起こしたのをきっかけに、新しいお客様が気兼ねなく来られる店に変えようとスタンスを変更しました」
