坪月商42万円の中目黒『チャン栓チャン』。常連客を虜にするボトルキープマジックに注目
注目すべきボトルキープシステムの4つのポイント
ボトルキープできるのは金宮焼酎。金宮焼酎は「なか(60ml)」(300円)、「300mlボトル」(950円)、「600mlボトル」(1,850円)、「1,800mlボトル」(5,300ml)の4サイズで販売しており、「600mlボトル」からボトルキープできる。
『チャン栓チャン』のボトルキープシステムで注目すべきポイントは4つ。ボトム価格を1,850円に抑えたこと、追加注文時にボトルを使い捨てにするのではなく、同じボトルに焼酎を注ぎ足す方式にしたこと、31種の幅広い割り材を揃えたこと、そして、キープ期間を1か月に設定したことだ。
ボトム価格の抑制はもちろんボトルキープ注文の促進が狙い。2,000円を切るボトム価格によって注文のハードルを下げているわけだが、これは同じボトルに焼酎を注ぎ足す方式と組み合わせることでボトルキープの追加注文を取りやすいことにもつながる。自分の名前を書き込んだボトルそのものに愛着が湧き、空になるとつい追加注文したくなるのである。
一方、「ウーロン茶」(300円)、「ハイサワーサワー」(300円)、「ホッピー(白・黒)」(各400円)など、300円の割り材23種、400円の割り材3種、550円の割り材2種などをラインアップ。
割り材を幅広く揃えることで飲み飽きを防ぎつつ、ボトルキープをしたお客が友達や仕事仲間とボトルを共有して好みの割り材で飲むこともできる。また、ボトルキープはボトル購入後に客単価が下がりがちだが、割り材の注文によってそれをある程度まで抑えられるというメリットもある。
店の存在を忘れさせないキープ期間1か月が再来店の鍵
そして、特筆されるのが1か月という強気のボトルキープ期間の設定だ。「店が狭く、ボトルの設置スペースにも限界があるため」と渋谷氏はもともとの理由を説明するが、これが再来店の促進と来店頻度アップに効果を発揮する。
ある大手の外食企業が「お客が再来店しなくなる理由」を調査したところ、分かったのが「店の存在を忘れていた」という回答が多かったことだ。具体的なマイナス要因があったわけではなく、来店するタイミングを逃してなんとなく店に行かなくなった、という曖昧な理由が意外と多いのだという。
ボトルキープでも似た現象が起こる。たとえば、6か月間などの長期間にわたってキープできると、お客はキープしていたことを忘れ、何かの機会に再来店して「そういえばボトルキープしていた」と思い出すということも起こりがち。
キープ期間が1か月であれば、記憶の新しいうちに期限が来る。そのため、「期限が切れる前に行こう」という意識が生まれて再来店につながりやすくなり、実際に「期限切れは1割にも満たない」と渋谷氏は語っている。
