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月商400万円、都立大学『MARBLE』。業態開発の名手による“認知度アップの改善策”とは?

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店頭は立食可でペットを連れの利用もOK。緑道での散歩の途中に一杯ひっかける地元客も(写真提供:株式会社コローリ)

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月商300円弱からの厳しい出発

盤石な業態のように思えるが「最初は大変でした」と山口氏。初月の月商は300万円弱だったという。苦戦の要因は2つ。1つ目は立地である。

店舗は中華料理店の居抜き物件。駅から徒歩1分、大通りから一本入った静かな緑道に面している。「賃料30万円弱と安い上に、駅から近いのに緑道の中にあり、面白い場所だなと思いました」と山口氏が話すように、希少な駅チカ隠れ家店だ。ただ、路地裏立地のため、視認性が低く、認知されづらい欠点もあり、集客に苦労したのだ。

もう一つの要因は、レストランに寄せた業態のためか、客から「敷居が高い店」だと勘違いされたこと。コンセプトに準じて、「冷菜」「温菜」「メイン」など、各カテゴリーの中でRETROとNEWのメニューを分けて、細分化したメニューブックも用意したが……。

「RETROとNEWを厳密に分けなくちゃと、厳しい目になっていたのは自分たちの方。お客さんにとっては、それはどうでもいいという感じでした(苦笑)。むしろ細かくて分かりづらかったようです」

以前は厚いメニューブックだったが、ペラ一枚のメニュー表に変更した。RETROとNEWを分けたメニュー表記もやめた

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これまでの店舗展開の経験から、新業態が街や人にすぐ浸透しないことは想定内だった。

「自分たちが業態を決める際、いつもレストレラン系をやるか、居酒屋系をやるのかだけを決めておき、物件契約などを進めながら、二人(山口氏と渡部氏)で話し合って、目安となる業態をつくります。けれども、実際に立ち上げて経営しながら、お客さんの反応を見て上手くいかなければ、結構簡単に中身を変えちゃうんです(苦笑)。他の店舗も全てそうでしたが、都立大学は特に……」

『MARBLE』はこの1年で、レストラン系から、レストランと居酒屋との中間の位置付けの店に変わった。そのために行ったのが、メニュー構成&価格帯の見直し。まず、料理のボリュームダウンから着手した。

創業当時のワンシーン。量が多い一つのメニューを人数分に分けて配膳していた(写真提供:株式会社コローリ)

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「どのメニューも基本的に量が多めで、複数人で来たお客さんには、人数分の皿に取り分けて提供するスタイルでやっていました。それをやめて量を減らし、その分、価格を落としました。元々多かった2,000円弱くらいのメニューを少なくし、1,000円台前半のものを増やしています」

加えて1,000円を切るメニューも取り入れ、現在のレギュラーフード計37品のプライスレンジは600~3,800円と幅広い。ディナー時の客単価を5,000円に抑えたことで、カジュアル感が増した。

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小林智明

ライター: 小林智明

埼玉県出身。情報誌の編集プロダクションを経て、2006年にライターとして独立。食、旅、スポーツ、エンタメなど多岐にわたり取材・執筆活動を展開中。グルメ取材はラーメン店を中心に計500軒を突破。好きなお酒は辛口純米酒。