客であふれ返る“酒屋”、神田『キャリカーズトーキョー』。ポップでディープな角打ち成功の裏側
酒販店として飲食店への卸売も担う
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背景にあるのは、自分の足で得た圧倒的な経験と知識
酒屋での職務経験がないまま、30代で『キャリカーズ』を開業した白石氏。そのいきさつにこそ、成功の鍵があった。
白石氏と酒屋との出合いは、学生時代から続ける音楽活動がきっかけだったという。先輩バンドマンたちに連れられ居酒屋へ行き始めた頃、焼酎に魅せられたという白石氏。しかし、まだ若かった彼にとって飲食店で酒を嗜むには金銭的限界があった。そこで目を付けたのが、リーズナブルに買える酒屋だ。リハーサルやライブのたびにスタジオ近くで酒屋を探し、さまざまな銘柄を買い求めるように。
「20歳そこそこの若造が何度も前のめりで店に来ては買っていくから、どの店でも大将たちがおもしろがっていろいろ教えてくれました」
「当時から自宅に300升くらいあった（笑）。ハマるととことん突き詰める性格」（白石氏）
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同時に情報誌や専門誌を読み漁り、米や麦の品種、製造工程の違いによる味づくりの理論を習得しては、また答え合わせをするように酒屋に通う毎日。音楽活動を続けながらおよそ3年ごとにさまざまなきっかけで日本酒、クラフトビール、ナチュラルワインへとシフトしつつ、その都度、ストイックに飲んでは学び・飲んでは学びを繰り返し、知識と経験を蓄積してきたのだ。
気さくな人柄も相まって、必然的に酒のつくり手とのパイプも増え、ついにはライブで訪れた日本各地の酒屋の店主たちと共に酒蔵や醸造所に足を運ぶまでに。「酒屋でもやりなよ」との知人の一言から開業へと動き出すと、彼の酒への愛と情熱を知る酒屋の店主・つくり手・飲み仲間たちが続々と力を貸してくれたと白石氏は話す。
「貴重な銘柄のお酒を提供してくれたり、経営のことを教えてくれたり、お客さんや友人に店のことを紹介してくれたり。思えばずっと、いろんな人に助けられています」
左から2本目が定番の「La Castellada VRH」。マグナムボトルも並ぶ
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