ワンオペで坪月商46万円を達成! 外苑前『gnudi』“料理とサービスを両立させる技”とは?
調理を最優先に、お客とのコミュニケーションも工夫
ワンオペで切り盛りするにあたって、サービス面での工夫も重要だ。『gnudi』では、最初の料理と飲み物はどんなに忙しくてもすぐに出すようにしている。
「この店は仕事が早い、と最初に印象づけることができれば、その後の料理が多少遅れても“忙しそうだから仕方がない”と思っていただけるのではないかと。オープンキッチンの小さな店で、客席から調理の様子がよく見える造りになっている、というのもメリットですね。今は手が離せない、という雰囲気がお客様に伝わりやすいですから」
調理を最優先に考えているが、調理中に声がかかった場合は「2分で行きます」といった一言を必ず返すという。また、ワインの説明は時間を要するため、1杯目を注文するお客の様子から判断し、ビギナーの場合は細かい説明はせず、料理に合うワインを藤生氏がセレクト、愛好家なら複数のワインを丁寧に説明して選んでもらう、というように提供の仕方を変えている。
なお、ワインは自然派を200種類ラインアップ。グラスは1,000〜1,200円が中心で12〜14種類程度を用意している。ワンオペでサービスが行き届かない分、安めの価格設定にしているという。
店長を務めた前店を引き継いで独立
藤生氏は吉祥寺や立川のさまざまなジャンルの飲食店で働き、外苑前のトラットリア『2colori(ドゥエ・コローリ)』でイタリアンを本格的に学んだ。2020年に同店が自由が丘へ移転リニューアルするにあたり、同じビルの1階にあった姉妹店のワインバー『+ebi-ro(エビイロ)』の店長となり、ワンオペで運営。もともと料理の大半は『2colori』で調理したものを出していて、厨房機器が最小限であったため、試行錯誤を続けてきた。その後、独立を志してオーナーに相談したところ、『+ebi-ro』の譲渡を提案されたという。
「周囲に相談したところ、資金をかけてゼロから店を始めるよりも軌道にのりやすい、という意見が多く、引き継ぐことにしました。自分で開業する店はスタッフを雇おうと考えていましたが、結果的にワンオペになりましたね」
店名は、イタリア語で裸の意。ラヴィオリの具を生地で包まずに茹でた料理、いわばパスタ生地を脱いだ裸のラヴィオリを「gnudi」と呼ぶイタリアならではのセンスに感銘を受けたことと、「裸一貫で新たな店を始める」という想いが由来になっている。
前店からのイメージを刷新するため、赤や茶色をベースにしていた内装をグリーンに変更。ベンチシートを設置し、カウンターは座席を2席に減らして空いたスペースは立ち飲みできるようにした。メニューも半数は前店からのものを引き継ぎつつ、「gnudiの唐揚げ」(4個800円)、「炙りしめさばと白味噌のムース」(1,500円)など、オリジナリティを発揮したメニューを加えている。
