坪月商53万円の三軒茶屋『立ち飲みホルモン ひだまり』。三角地帯にない“たまり場作戦”で奏功
成功の鍵は“芝浦直送ホルモン×焼酎”と、一見さんにも優しい“たまり場的雰囲気”
新店舗『ひだまり』は、その名の通り立ち飲み業態で、芝浦直送の新鮮なホルモンと、吉村氏の故郷・長崎壱岐の焼酎をはじめとした日本各地のレア焼酎が楽しめるのがコンセプトだ。
「大阪の西成に『やまき』(現在閉店)という路上でホルモンを出す名店があって。いつかあんな狭くて、外で飲めるような立ち飲み屋をやりたかったんです」と吉村氏。ホルモン業態も、立ち飲みも今回が初めての挑戦となる。
成功の鍵を握るのは、メニュー開発を担当する店長の高井純太氏の存在だ。『餐茶』、『大衆酒場ひので』の立ち上げも一緒にこなした、吉村氏が信頼を置く社員だ。
「高井には『芝浦のモツを意地でも使いたいから(業者と)繋がってくれ』と無茶振りしました(笑)。そうしたら、常連の友人が業者さんで、本当に仕入れられることになって。彼のメニュー開発や調理の腕は高く、信頼しています。物件を取得して業態を伝えたら、あとは基本的に全部お任せ。メニューもドリンクも口出ししていません」
高井氏はメニュー開発についてこう語る。
「ホルモンをメインに据えて、価格設定は立ち飲みにしては気持ち高めにしています。その分、今後物価が上がっても価格を変えず、『ここは変わらないね』とお客さまに安心感を持ってもらいたい。それに、量をしっかり提供すれば納得感もある。お酒3杯と料理3品で、客単価4,000円~4,500円になるよう意識しました」
料理は、濃厚な甘辛ダレが焼酎との相性抜群の豚もつはもちろん、〆にピッタリの「鉄板焼きそば」(880円)などを提供する。ドリンクは定番のビールやサワーに加え、常時30~40種類以上の厳選した焼酎も用意している。
吉村氏は続ける。「利益を出すために一番大事なのは、いかに安く仕入れるか。でも、安いから儲けるんじゃなくて、その分をお客さまに還元したい。他のお店よりも圧倒的な価値を感じてもらいたいんです」と立ち飲みとは思えぬポーションで提供しているのも、このお店の特徴だ。この考えは全店舗に共通しており、そのために神奈川県・新丸子の魚屋や、代表の故郷である壱岐の食材ルートなど、独自の仕入れ網を徹底的に活用している。
『ひだまり』は、レンガ造りの外装で、店内は壁面に色とりどりのタイルを施し、おしゃれで昭和レトロな雰囲気を醸し出している。
「全店舗でお世話になっている仲の良い内装デザイナーさんに今回も依頼したのですが、『僕の好きなイメージでお願いします』とオーダーしました。三角地帯にない雰囲気のお店を作りたかったんです。社員みんな人が好きなので、カラフルにしよう、と」
実際、その外観は多くの人の足を止め、中が見える安心感から「一見さんもふくめ、誰でもウェルカムな雰囲気が出せていると思う」と話す。店名には、温かな居心地と、多くのお客様の“たまり場”になりたいという思いも込められている。

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