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飲食店も活用できる東京都「DX推進助成金」開始。上限3,000万円の助成を受けるには?

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東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社は、都内中小企業のDX推進を目的とした「DX推進支援事業」を実施しており、その一環である「DX推進助成金」の申請事前予約が現在受付中だ。この助成金は飲食店でもデジタル技術の導入・活用にかかる費用の一部に充当できるため、DX化を検討する事業者にとっては積極的に活用したい制度といえる。本記事では、「DX推進支援事業」の概要と飲食店の活用事例を紹介する。

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DX戦略策定支援と費用助成がメイン。第1回申請事前予約は6月16日まで受付

東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社が進める「DX推進支援事業」では、助成金の第1回申請事前予約を5月15日から6月16日までの期間で受け付けている(第2回は10月頃を予定)。この事業は、都内の中小企業を対象に、専門アドバイザーによるDX戦略策定支援、デジタル技術導入サポート、さらにデジタル技術を活用した機器・システム導入経費の一部助成を行うものだ。

事業の主な内容は「アドバイザー派遣」と「助成金」の二本立て。「アドバイザー派遣」では、専門家が事業者を訪問し、課題分析から支援方針の明確化、DX戦略の策定、デジタル技術の導入、さらには運用サポートまでを一貫して支援する。このアドバイザー派遣は4月15日から受付が始まっており、派遣されたアドバイザーが作成する「アドバイザーからの提案書」に基づいてデジタル技術を導入・活用する場合に、その費用の一部が助成対象となる。

助成対象経費には、機器・ロボット導入費、システム構築費、ソフトウェア導入費、クラウド利用費、データ分析費などが含まれる。助成限度額は3,000万円(下限額30万円)だ。助成率は申請するコースや事業者の規模、賃金引き上げ計画の有無などによって異なり、主な区分は以下の通りとなっている。

■生産性向上コース
・中小企業者:2分の1
・小規模企業者:3分の2
・賃金引上げ計画を掲げ申請する事業者(中小企業者):4分の3
・賃金引上げ計画を掲げ申請する事業者(小規模企業者):5分の4
・働き方改革推進枠(建設業、運輸業の事業者など):5分の4

■DX戦略策定支援コース
・中小企業者など:3分の2
・賃金引上げ計画を掲げ申請する事業者(中小企業者):4分の3
・賃金引上げ計画を掲げ申請する事業者(小規模企業者):5分の4
・働き方改革推進枠(建設業、運輸業の事業者など):5分の4

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飲食店のDX推進、具体的な活用事例

飲食店が「DX推進支援事業」を活用してDXを進める場合、以下のような事例が考えられる。ただし、助成を受けるには、前述のアドバイザーが作成した提案書に基づいてデジタル技術を導入・活用する必要がある点に注意が必要だ。

【注文・決済の効率化】
■モバイルオーダーシステム
来店客自身のスマートフォンからの注文・決済を実現する。注文ミスや売上集計の誤りを削減し、店外からの予約注文や多言語対応も可能にする。

■キャッシュレス決済端末
多様な決済手段への対応を可能にし、会計時の時間を短縮する。

【顧客管理・経営の高度化】
■CRM(顧客関係管理)システム
顧客の来店頻度や注文履歴などを記録・分析し、個々の顧客に合わせたサービス提供や効果的な販促活動を支援する。

■経営管理システム
売上や原価の管理、売上予測に加え、在庫管理やスタッフのシフト管理など、店舗運営全体の最適化を図る。

■自動発注システム
在庫状況や過去の販売データ、天候情報などから需要を予測し、発注作業を自動化する。

【集客力の強化】
■Webサイト構築
店舗の独自性を打ち出し、新たな集客チャネルを確立する。オンラインでの商品販売(ネット通販)なども展開可能にする。

【円滑なコミュニケーション】
■情報共有ツール
ビジネスチャットなどを活用し、スタッフ間の連絡事項、業務マニュアル、レシピなどを効率的に共有する。円滑なコミュニケーションを促進する。

【業務効率の向上】
■調理支援ロボット
食器洗浄や一部調理作業の自動化を実現する。人的リソースの最適化と調理プロセスの効率化に貢献する。

■配膳ロボット
注文品を客席まで自動で運搬する。人手不足の緩和や、接客サービスの向上に繋げる。

提案書作成に最低3か月、第2回申請は10月頃を予定

助成金申請の前提となる「アドバイザーからの提案書」作成には、最低でも3か月程度の期間を要するという。そのため、6月16日締切の第1回申請事前予約は、既にアドバイザー派遣を受け、提案書の作成準備を進めていた事業者が主な対象となりそうだ。

これから助成金の活用を検討する事業者は、速やかにアドバイザー派遣に申し込み、10月頃に予定されている第2回の申請事前予約に向けて準備を進めることをおすすめする。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com