三軒茶屋の居酒屋『酒羅場』が20代女性に愛されるワケ。女性客比率80%で坪月商47万円!
17坪35席の規模で月商800万円を売り上げる東京・三軒茶屋の繁盛居酒屋『酒羅場』。いわゆるネオ大衆酒場とは一線を画したスタイルを打ち出しながら、オープンから5年近くが経った今も、20代前半の女性客に支持され続けており、来店客の女性比率は実に80%にも及ぶ。
同店を運営する株式会社GOV代表の小林健祐氏にメニュー施策、サービス施策の両面から女性客の支持を獲得するための秘訣について解説していただいた。
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想定外の「20代女性人気」でターゲットを柔軟に変更
東京・三軒茶屋の『酒羅場』がオープンしたのはコロナ禍の真っ只中にあった2020年7月。逆風が吹き荒れる中での船出だったが、2021年に入ると予約が3週間先まで埋まるほどの激繁盛ぶりを見せるようになる。
その快進撃を支えたのが20代女性からの圧倒的な支持だ。来店客に占める女性比率は実に80%。とくに20代前半の女性からの厚い支持を獲得しているが、同店を運営する株式会社GOV代表の小林健祐氏から「元々はその層を狙っていたわけではなかった」と意外な答えが返ってきた。
「想定していたターゲット層は情報感度の高い30代男女でした。ただ、低単価を売りのひとつにしたことが若年層の居酒屋ニーズにフィットしたようで、想定よりも低い年齢層の支持が大きく伸びた。そうした流れに逆らうのにはリスクが伴いますから、ターゲット層を20代前半の女性に切り替え、業態をブラッシュアップすることにしました」
「専門店集合型」のメニューで品質と映えを両立
20代前半の女性に照準を合わせた集客策は多岐に渡るが、「メニュー施策においては品質と映えを両立させながら、プラスαの売りをすべての商品に盛り込むようにしています」と小林氏は説明する。
フードは居酒屋、和洋中エスニックの定番料理をアレンジした「専門店集合型」の商品構成を採っており、店内で串打ちをしている「焼き鳥・串もの」がメニューの柱。串焼きは16品をラインナップし、「もも」(308円)や「レバー」(297円)など定番メニューに加え、売れ筋1位の「パルミジャーノつくね」(330円)をはじめとした創作串焼きも用意している。
「一品料理」30品がメニューのもうひとつの柱だ。なかでも、小林氏の考え方がわかりやすく表れた商品が24年12月に投入した「サーモンのレアカツ~わさびタルタルイクラのせ~」(902円)だ。
「サーモンのレアカツは写真映えする商品ですから、導入されている居酒屋も増えています。その商品価値を高めるため、イクラをたっぷり盛りつけて料理の見映えを良くし、さらにワサビを合わせたタルタルソースによってオリジナル性を出しました」と小林氏は商品開発のポイントを説明する。
ぶ厚くカットしたサーモンを用いつつ、値頃感を出すために価格は税抜820円(税込902円)に設定。単品原価率80%のサービス品だが、小林氏は「SNSの情報拡散につなげる宣伝広告費」と割り切っており、その狙い通りに1日の平均出数が20品を超える大ヒットメニューになった。
この商品に用いるサーモンやイクラのように、「20代女性に受ける食材」も小林氏が商品開発で意識しているポイントだ。
