三軒茶屋の居酒屋『酒羅場』が20代女性に愛されるワケ。女性客比率80%で坪月商47万円!
フルーツサワーは「焼酎不使用」で果実感を追求
ドリンクメニューにも20代前半の女性を意識した仕掛けが盛りだくさんだ。ドリンクの売りは9種を揃えるフルーツサワーだが、この1カテゴリーだけで大きく三つのメニュー施策を詰め込んでいる。
一つ目はフルーツのボリュームだ。「生メロンサワー」(748円)は主にクインシーメロン(赤玉)半玉、「生すいかサワー」(704円)は小玉スイカ半玉を絞り器とともに提供。「いちご×しそバイス」(660円)はグラスから溢れるようにたっぷりのイチゴを盛り付けて商品価値を高めている。
それを税抜580~680円(638~693円)で提供する価格戦略が二つ目の差別化のポイントだ。「果物は原価が嵩みやすいこともあり、フルーツサワーの相場は800~1,000円。その3割引き価格でフルーツ盛りだくさんのサワーを提供しています」と小林氏は言う。
そして、三つ目の工夫がアルコールに焼酎を使用していないことだ。「生メロンサワー」にはウォーターメロンリキュール、「いちご×しそバイス」にはモモのリキュールを使用しており、小林氏はその狙いを次のように説明する。
「焼酎を合わせるとどうしてもアルコール臭さが残ります。本来はそれがサワーらしい味わいになるのですが、フルーツサワーを注文される女性が飲みたいのは『サワー』ではなく、『フルーツのお酒』なんですね。トッピングするフルーツに合わせてフルーツリキュールを使い分け、お酒を飲み慣れていない方にも飲みやすいサワーに仕上げています」
デザート代わりの奇抜なドリンクがヒット
また、新メニューとしてやや奇抜にも思えるドリンクを2025年1月に投入している。プリンを浮かべた「プリン豆乳割」(572円)、抹茶リキュールのサワーに餡子と白玉団子を合わせた「宇治金時割」(594円)がそれだが、この2品は単にユニークさを売りにしたドリンクではない。
「狙いはデザート代わりのドリンクを用意することでした。20代前半の女性が主客層ですから、デザートニーズが大きいだろうとさまざまな商品を試したものの、一向に注文数が伸びませんでした。要因は具だくさんのフルーツサワーで、この商品がデザートニーズまで満たしてしまっていた。デザートニーズを刺激するには異なるアプローチが必要だと発想を切り替え、ドリンクメニューとして投入してみたわけです」
その小林氏の狙いがぴたりとハマる。デザートメニューの出数は1日2~3品ほどにとどまったが、「プリン豆乳割」と「宇治金時割」はいずれも1日出数が10杯を超えている。
また、注文数はさほど多くないものの、日本酒10種、焼酎5種の品揃えにも工夫を凝らしている。「お酒を飲み慣れているお客さまは少ないですから、日本酒は獺祭や醸し人九平次、芋焼酎は佐藤や伊佐美といった誰もが知る有名ブランドで、なおかつ飲み口の軽い銘柄を用意」(小林氏)するなど、細部にわたって20代前半の女性に配慮したメニューを組んでいる。
