渋谷繁盛店が恵比寿に進出! 『えびすのアラレ』による“女性目線のエスニック居酒屋経営”
ビジネスパートナーの休業が、店舗展開へ舵を切るきっかけに
順調に売上を伸ばしていたが、店舗展開は一切考えていなかったという飯泉氏。島田氏とは、いずれ結婚や出産などライフステージが変化した際に店が足かせにならないよう、「ゆる~く、自由にやっていこうね」と話し合っていたという。転機を迎えたのは、オープンから3年を迎えた頃。島田氏が乳がんと診断され、長期休養を余儀なくされた。
「そんな時に、常連さんや昔の仲間など『店を手伝うよ』と言ってくれた人がたくさんいたんです。さち(島田氏)も元気になって戻ってきてくれて、新しいスタッフもそのまま残ってくれたので、今だったら2店舗目を出せるかもしれない、という気持ちになりました。やっぱり、“人”があってこその店舗展開だと思うので」
恵比寿の物件は、懇意にしている不動産業者からの紹介で出合った。おでん居酒屋の居抜き物件で、想定していたよりも資金は嵩んだが、「カウンターを囲むお客さんの姿がすぐに浮かびました。そもそも恵比寿の物件はほとんど出ないんです。こんなチャンスはもうないかもしれない! とすぐに申し込みました」
駅から徒歩5分圏内の好立地とはいえ、店を構えるのは空中階。窓もなく、ビルの外からは外観も見えないが「むしろその方がいいと思った」と飯泉氏。
「特にターゲットを決めていたわけではなかったんですが、『ARALE』のお客さまは30~50代と大人世代の方が中心で、本当に素敵な方ばかりで。路面店は認知されるのも早いと思いますが、“きれいな飲み方”ができない人も来てしまうかもしれない。だったら、多少時間がかかってもいいから、素敵なお客さまが集まるお店、わざわざ足を運びたくなる場所を作りたいと思いました」
しかし、契約後に水回りなど大がかりな内装工事が必要なことが判明。「せっかくだからその前に、おでん屋の造作を生かして私たちなりの『エスニックおでん』をやってみよう、と。文化祭のようなノリですね(笑)」と3か月限定で『のりまきおでん』として営業。約1か月間にわたる内装工事を終え、晴れて2025年5月に『えびすのアラレ』を開業することができた。
エスニック料理に苦手意識を持つ人にこそ、食べてみてほしい
飯泉氏が掲げる料理のコンセプトは「初めて食べる人も、コアなファンも楽しめるタイ料理&エスニック」。日本人の舌に合うようにさまざまな工夫がされているほか、ほとんどのメニューは「パクチー抜き」にも対応しているという。
『えびすのアラレ』のメニューは、渋谷店でも人気の名物を中心に構成した。中でも、パサつきがちな鶏胸肉を、低温調理でしっとり柔らかく仕上げた「おつまみカオマンガイ」(850円)は、『アガリコ』時代に何度も試作したという自慢の逸品だ。
また、タイでおなじみのエビトーストをアレンジした「エビトースト ホイップバター」(1,200円)は、フレンチトーストを思わせるリッチな味わい。たっぷりのせたホイップバターがギルティながらも病みつきになり、リピーターが後を絶たない。
この他、恵比寿限定メニューとして、レモングラスやこぶみかんの葉、レッドカレーべースのスパイスで味付けした「レモングラス水餃子(辛)」(700円)がある。渋谷の定番メニュー「自家製ソーセージ」のあんを餃子の皮に包んだもので、「恵比寿のキッチンにはオーブンが置けなかったので、アレンジしました」とのこと。今後は、限定メニューも増やしていきたいと話す。
ドリンクは定番のビールやハイボール、サワー類などに加え、オリジナルカクテルも用意。「ピーチなアラレサワー」(750円)はグレナデンシロップ、ピーチリキュール、炭酸水を合わせたサワーに、バタフライピーティーを加えたもので、ピンクと紫色の層が見た目にも華やかな1杯。島田氏が休養中に“応援サワー”として考案されたカルダモン、ココナッツシュガーを漬け込んだ焼酎をベースにする「カルダモンサワー」(800円)もおすすめだ。
